Tシャツ+浴衣⇒Tシャツぞうり
毎年衣替えの度、着られなくなったTシャツが何枚も発生する。
以前はそれら全てを袋詰めし、地域の廃品回収に出していた。
多少ではあるが自治会の収入にもなるし、捨てるより心が痛まない。
しかし近頃はほとんど全てのTシャツを草履へと作り変えている。
今流行りのアップサイクルだ。
きっかけは布ぞうり作家である友人に、手作り布ぞうりをプレゼントされたことから始まる。
もうかれこれ20年ほど前のことになる。
夫の海外赴任に伴い、家族全員でタイに転居することになった。
息子のクラスメイトの母親=ママ友であった彼女から、
学年末のクラス懇談会後に
「これ、あなたのイメージで作ったの、よかったら向こうで使ってね」
と淡いピンク色の布ぞうりを手渡された。
思いもよらなかった餞別の品に、涙腺が緩んでしまったことを今でも覚えている。
せっかくなので夫の分も作って欲しいと、急遽お願いをした。
子どもたちの卒業式の日に約束の品を受け取り、二人分の布ぞうりを手荷物に加えたのだった。
バンコクでの新居は23階建てのアパートメント。
3ベッドルーム+ダイニング+リビング+キッチンは、全て大理石の床。
素足で歩くとひんやり気持ちは良いが、たちまち足の裏は真っ黒になる。
飛行機で自ら持ち込んだ布ぞうりの出番は、直ぐにやってきた。
毎日毎日足元は布ぞうり。
気軽に洗濯機で洗えるし、常夏の国ではあっという間に乾く。
そうやって丸三年間愛用し続け、最後の日にさよならをした。
本帰国して落ち着いた頃、彼女に久しぶりに連絡を入れてみる。
履きこごちが良く三年間ずっと使っていたこと、そしてこれを是非自分でも作ってみたいと伝えると、たいそう喜んでくれた。
それから時々彼女の元へ作り方を習いに行くことにしたのだ。
初めての作品は自分用、その後に夫、子どもたち、両親、弟夫婦、友人へと、もう既に30足以上は作っているだろう。
なかでもTシャツを利用して作るぞうりは、初心者でも二時間ぐらいで完成するから手軽だ。
紳士用にはLサイズTシャツ3枚ほど、婦人用には2.5枚ほど。
鼻緒、前緒は古着、古布、手ぬぐい等を利用し手作りもできる。
地球にも人にも優しい、素足で履くぞうり生活はいかが?