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『サンドランド』の味わい深さ

鳥山先生が亡くなってからというもの、
各書店で鳥山先生の作品がズラリと並んでますね。
やっぱりそれで思い出した様にいろんな作品読んでるわけです。

で、特に何度も読み返してるのが
『サンドランド』なんです。
読めば読むほど鳥山明の真髄が詰まってる気がしてならないんです。
「売れるマンガ」から解放された鳥山先生が
のほほんと自分の趣味要素を解放してる感じが
なんとも堪りません。

ロードムービー路線に心落ち着く

やはり鳥山先生といえばロードムービーの天才
だと思うんです。
『Dr.スランプ』って結構旅要素強い。
『ドラゴンボール』も御多分に洩れず
初期のロードムービーが1番面白い。
鳥山先生の漫画の真の面白さと言えば、
張り詰めた緊張感のあるバトルではなく
すこしのんびりとした雰囲気で
ギャグがメインのアドベンチャー
だと思うんです。
『サンドランド』はその初期ドラゴンボールの
雰囲気を受け継ぐ作品と言って差し支えないでしょう。

地味?いやいや滋味の間違い

『ドラゴンボール』に関しては鳥山先生の
それまでに受けてきた影響の総決算ともとれる
内容を超分かりやすく出してきてますが、
それに比べると『サンドランド』はいささか
控えめというか地味に感じられます。
ですが、よくよく読んでるとこれぞ鳥山明!
となるような設定の数々。
『ドラゴンボール』がワクワクの要素が強い勢いのある作品とするなら
『サンドランド』はしみじみと、味わい深い
滋味深い作品という表現がしっくりきます。

鳥山先生はとにかくメカを描きたい方。
『サンドランド』では戦車が出てきます。
そのデザインが秀逸。
現実的なデザインと先生オリジナルデザインを
うまーく織り交ぜてあります。

あとは服装。
少し古い年代のアメリカを感じさせる
ファッション。これは『Dr.スランプ』から
ずっと受け継がれてきてます。

ストーリーのまとまり具合が絶品

短期連載だからこそのストーリーのまとまり具合。鳥山先生って長期連載じゃ無くて
こういう短期連載いっぱいやらせてたらまた
別の方向でレジェンドになってた気がしなくも
ないんですよねー。
だって読み切り作品とかどれもしっかり1話で
完結してるんだもん。
読み切り作品読んでるとわかるんですけど、
鳥山先生の凄いところの一つとして
圧倒的な構成力と世界観を構築する力。
たとえ読み切りの1話であっても
最初から最後まで説得力がある。
1話だけでも世界観を1から起こして完結させるだけの構成力がある。
1話だけであそこまで世界観を広げられる人はなかなかいない。
だから読み切り1話だけであっても満足感が凄く高い。
だから『サンドランド』みたいに
単行本一冊分ぐらいにするととてもサッパリした仕上がりなんだけど満足度は非常に高い。
こういうところを鑑みると、
鳥山先生は長期連載よりも短期連載が
向いてなんじゃないかなあ、と
つい思ってしまうわけです。

まとめ

『サンドランド』は個人的に最近のフェイバリット。だいぶ暴論ではあるけど鳥山先生の最高傑作説が自分の中で出てきてます。
そのくらい面白いしよくできてます。
初期の『ドラゴンボール』や
『Dr.スランプ』が好きな人にはぜひ読んでみてほしいです。

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