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『製パン王キムタック』

タイトルからして、パン作りのサクセスストーリー?なんて思った人、いません?
それ、間違っちゃいないけど
それだけだと思っていると確実に火傷する
ドラマ、それがキムタックなのですよ。

「美味しいパンを作る」という部分は確かに
面白いのだけれど、それに合わさる登場人物一人一人の描写がまあ上手い。
いわゆる人間の醜い部分。
それを全部乗せにしたようなドラマだね。
で、そこがうまく
パン修行のストーリーと合流してるから
中だるみする事なくイッキ見できる。

で、ほんでもって主人公キムタックを演じる
ユンシユンのキャラクター性もあって、
そんな醜さばかりのドラマも一握りの爽快感を
得ることに成功してる。
周りが汚いやつばっかなのに、常に主人公は前を向いてる。対比になってていいいよね。
おまけに恋敵、ライバル的なポジションに
まったく逆のタイプの奴がいるから、
よけいキムタックというキャラクターが光る。
ユンシユンの演技はかなり大味?
な気がしたけども、でもべつに嫌な感じではなかった。演技がどうこう以上に、キムタックというキャラクターの造形が良かったことに加えて、ユンシユン自体のイメージがマッチしてたんだと思う。

あと、このドラマ見てて思ったのは
王道英雄ストーリーだな、と。
つまり、英雄気質の主人公が一旦大きい権力を手に入れるけれども、元いた場所に帰ってきて
自分の使命を再確認する。
これ、同じ韓ドラで言えば『ホジュン』
と一緒ですね。なんだかんだこういう英雄気質なキャラクターには憧れを禁じ得ない。

最後に触れたいのが主人公のライバル役を演じたチュウォン。
こいつ、最後ギリギリまで歪みまくってたどうしようもないやつなんだけど、自分は大好き。
主人公が天才で誰にもできない事ができる
徹底的な「憧れ」の存在なのに対して、
超絶同情を呼び寄せる、どこまでも
人間臭いのがチュウォンが演じたキャラクターなのね。
こいつがいないと、単なる主人公の出世すごろくみたいになっちゃって中弛みの原因になる。
その憎たらしさを十二分に表現していました。

ただすこし気になるのは、
パン修行の描写がちょい薄い。
のと、すこし話盛り過ぎた感はある。
パン作りの師匠であるパルボン先生のキャラクター像が素晴らしかったからパン修行の過程はもう少し説得力のある感じにたっぷり描いて欲しかった。
それに、これいるのか?
みたいな要素がチョイ多かった。
別に本筋にあんまり関係しない話しかなかったから大きなマイナスにはならないのだけれど。


とにかく話の進むペースが早くて、
イッキに見れて最後見終わった後の心持ちも
なかなか清々しい。
視聴率50パー越えはダテじゃない。

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