檀ノ作万太郎の小噺#5
ある日の、運動の後。
日差しがやけに気持ちいい。
心地よい暖かさが風に乗って鼻筋を触る。
そのあと、風が体を伝い始めると、
汗が冷えて、少し涼しい。
それが気持ちよくて、鼻いっぱいに
息を吸う。
それもまた涼しげな感じがして、体の中が満たされていくよう。
命の、淡くも根を張ったエネルギーを感じる。
ぼうっと外の景色に目をやると、
なんだか意識が外に吸い込まれていく。
ああ、そうか、眠いんだ。
目を擦る。
すこし閉じた目を開く時、
瞼が重い。
また眠気が上がってきた。
まったりとした空気に包まれていると、
思考が薄れる。
徐々に徐々にとろりとしてくる。
体が崩れる、うなだれる。
頬を叩く。
寝てる場合じゃ無いんだよな。
これでも眠気覚ましのつもり。
もういいや、なんて思うともう後は
堕ちて行くだけ。
眠気と戦っているだけの、
何の生産性もない時間が過ぎてゆく。
後になれば、記憶はとんとない。
半分寝ていた様なもの。
こうやって、何も考えずに
だらりとしている時間こそ、
自分が求めている安息の象徴なのかもしれない。