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ソシャゲのテキストに音声は必要か

『FGO』や『ブルアカ』、『デンズリ』などのソシャゲでは基本、ストーリーパートのテキストに音声は採用されていません(バレンタインや濡れ場など一部除く)。

一方、『ロススト』『NIKKE』『超昴大戦』『トワツガイ』などの作品になるとメインストーリーも基本フルボイスとなっています。

加えて『NIKKE』の場合、一部大型イベントでもフルボイスが採用されている他、『超昴大戦』ではピックアップキャラに限定する形で全イベントにボイスが採用されています。

私見ですが、ストーリーパートの音声に関しては「必須ではないが、あった方が断然良い」派です。理由は以下です。

  • 声優さんの演技を通じて、キャラとシナリオの魅力が引き出されるから

  • テキストのフォントにストレスを感じずに済むから

  • オートモードと組み合わせることで画面に拘束されるストレスが減るから

  • 無理なアニメ化に期待する必要が無くなるから

まず1点目は説明不要でしょう。
普段、ボイスの付いているソシャゲからボイスを消してみるとよく分かりますが、びっくりするぐらい味気ないです。
逆に元々、音声の無かったテキストでも後からボイスが追加されたりすると、それだけで新鮮味が感じられたりします。

……私は物語というのは本質的に"体験"だと考えています。

仮に内容が同じお話だとしても、そこに絵があるかないか、動きがあるかないか、音(声)があるかないかで全く感じ方が変わってくるのです。場合によっては声が付いた結果、一気にそのキャラが好きになる場合もあります。

ライターさんが折角、丹精込めて頑張って書き上げたキャラに本気で触れて愉しんで貰いたいなら、声優さんに演じて貰った方が断然良いのです。必要経費だと割り切ってもらって。どこぞのラーメン禿様も仰っておられますからね、「いいものなら売れるというナイーブな考え方は捨てろ」と。至言だと思います。

良いシナリオを書いたのだから評価されて売れるだろう……。
良いイラストを描いたのだから評価されて売れるだろう……。

足りません。今は娯楽飽食の時代です。良いシナリオも良いイラストも世の中には無料で山のように転がっているのです。

そんなご時世において、ストーリーに触れてキャラを好きになってもらって最終的にお金を落としてもらう為には、とにかくあらゆる形で作品の良さをユーザーに味わって貰わなくてはなりません。視覚だけでなく、聴覚にも訴えて、相手の心を動かさなくてはならないのです。もしかしたら、未来では五感の全てで物語を体験できる日が来るかもしれませんね。電脳ドラッグかな?

次が「テキストのフォントにストレスを感じずに済む」点です。

私も色々なソシャゲに触れてきましたが、『FGO』や『ブルアカ』と比較して『NIKKE』のフォントサイズは非常に小さくて読み辛いという欠点があります。正直、あまりリーダビリティを意識していないのではないかとさえ思えてきます。もしかすると、スマホではなくPC版での視聴を前提にしているのかもしれません。知らんけど。

それでも、私が『NIKKE』のメインストーリーをなんだかんだ追えているのは、声優さん方の音声があるからです。目で文字を追うのではなく、画面全体を眺めながら耳で物語を聞くことが出来るからです。これは『ロススト』や『超昴大戦』も同様です。でなければ、とっくにストーリーの視聴は断念してたと思います。だって、ユーザーに読ませようという努力が感じられないし。

そして、これは3番目の理由にもつながります。長いソシャゲのストーリーを小さい画面の小さい文字でずっと読み続けるのは、正直、苦痛なのです。

そもそも、私達は1行単位で何かを普段、読んだりしません。

小説なら前後の行も同時に、漫画なら上下のコマや隣のページまで含めて、一つの情報として読み取るようになっています。

……ところが、ソシャゲなどのADVでは基本的に1行ずつ文字が表示されていくようになっています。これが短い内容ならまだしも、昨今のストーリーの長文化が著しい状況下においてはかなりの時間をスマホやPCの画面に拘束されることになります。はっきり言ってストレスです、これ。しかも、物語を読み取る方法が絵と文字だけに限定されている場合、常に視覚を画面に占有されることになります。正直、しんどいです。

しかし、キャラの会話に音声が付与されている場合、耳で物語を聞きながら適宜、画面に視線を戻す、という流し読みが可能となります。長いストーリーを追う際の負担をかなり軽減でき、助かります。仮に読み飛ばしたパートがあったとしても全体の内容を掴めてますので、後で読み直せば済む話です。

そして、最後が無理なアニメ化に期待する必要が無くなる点です。

私も色々なソシャゲのアニメ化を見てきました。実際、出来の良い作品も少なくありません。

……しかし、お世辞にも良かったと言えない作品や期待値を超えられなかった作品も多かった印象です。作品によっては、ADVの紙芝居形式だから誤魔化されていた不自然さが映像化した際に露になってしまい、「あれ、これってこんな感じだったの……?」と冷めてしまう危険性すらあり得ます。

これはなまじ人気がある作品だからこそ陥り易い罠です。

期待値が高過ぎるので、よっぽどのクオリティで無いとユーザーに納得されない上に、元の作品がそもそもアニメに向いていなかったという客観的事実を見落としていた、という場合です。こうした作品は漫画や舞台劇であれば、それほど違和感なく楽しめる場合もあるのですが、アニメという連続活劇の中で見ると、凄く滑稽でチープに映って見える可能性があります。勿論、そう感じさせないのがアニメーターの実力だとは思いますけどね……

でも、やっぱり限界はあると思うんです。人気ソシャゲがアニメ化する度に何故か微妙な反応に始終するのを散々見てきた側としては。

しかし、そもそも、私達がアニメ化に求めているものは何でしょう?

映像でしょうか? 音声でしょうか?

最近のソシャゲはここぞという時に一枚絵を使い、ミニアニメを流し、ストーリーはボイス付きで視聴することが出来るようになっています。要するに、ほぼほぼアニメ化されているといっても過言ではありません。

その点で言えば、私は『NIKKE』『ロススト』『トワツガイ』に関してアニメ化は不要だと感じました。少なくとも、無理にアニメ化して様々な制約で変に改変されたり、微妙なクオリティで放送されるぐらいならば。

それよりも、今後もソシャゲ自体の音声化を推し進め、各媒体に合った、より良いゲーム体験を実現して欲しい。そう思う今日この頃なのでした。