前立腺がんだって。なんだよ、それ!#012
3月1日。
20日に実施した全身シンチグラフィ検査の結果が出る。
そもそもこの検査、簡潔に言えば「骨のガンを可視化する」検査だ、ホント明快。
手順で言えば、点滴ではなく静脈注射で、直にドドンと骨ガン専用造影剤が投入され、約3時間後全身に浸潤した時点で撮影する。この3時間は何しててもいいので、一旦外へ出て昼めしとしてカツカレーを食したり、家が近ければ帰ってヒルナンデスを見てもいい。
撮影は概ね3時間後からの30分間が勝負だ。そして、ガンがある部分は他の部分と比較して「明らかに黒く」写る。この造影剤はガンに群がるのだ。
全身くまなく放射線を浴び、体内にもガンマ線を照射する薬剤が入り・・
もしかしたら、コレデがんヲハッショウスルカモ。
結論は「セーフ」。
僥倖、である。背骨・骨盤・大腿骨といったメジャーどころから耳骨鼻骨という小骨まで、あまねく健康でありました。
健康・・いい言葉だね、しみじみと感謝したくなる。
「と、いうことで病期はN1、単純なリンパ節への転移が、・・認められると」
「うん、決して楽観はできません、やはり進行していますから。だからこそ標準的な保存療法を試していきたいと、まぁ、考えて、います。」
「前立腺がんの好物というか栄養源は、テストステロンを筆頭とする男性ホルモンです。これの産生を抑えます。」
「いくら抑えても微量はできますから、それががん細胞に結合することを阻害します。」
男性ホルモンを作らさない!くっつけさせない!という方法で様子を見る、という戦法らしい。
なんか、消極的かも・・・
「何と言っても身体への負担が少なく、強度の違う薬品が数種類あり、臨機応変に対応できます。」
「また、長い期間同じ薬剤で効果を維持できる可能性も高い治療です。」
つまり、うまいこと薬が合えば長く現状をキープできるし、慣れちゃって効かなくなっても手返しを打てる可能性が高い。
最終的には抗がん剤治療になるけど、そこに至るまでを限りなく誤魔化したら、あらまぁびっくり寿命じゃないの、って寸法らしい。
正面から戦わないのね、ソレもありかも。なにより身体の負担が軽いというのがうれしい。
「まず1ヶ月間、リュープロレリン酢酸塩の皮下投与、あぁ、置き薬ですね、皮下脂肪の中に。」
「そして飲み薬として1日1錠、錠剤を服用してもらいます、くっつくのを邪魔します、ビカルタミドといいます。」
嘘か本当か、そんなことは問題ではない。信じるか信じられないか、門外漢としての患者にできることはそれだけだ。
もし、方便としてのウソが混じっていたなら、それはやっぱり「優しい嘘」だと俺は思う。
さて、方針は決まった、今日から始まる。
あとは自分の運をひたすら信じて。