前立腺がんだって。なんだよ、それ!#004

「・・数値は以前の検査時と変わらず70台ですね。うーん・・うん、胸はきれいですね。そして、・・っと」

なんだろう?なんかこの先生、

「この骨盤内の写真のほうですが、えー、うん・・・この真ん中に写っているのが前立腺ですね。これです。」
わかります。
「うん、なんとなく右側に張り出してるのが見てとれます。わかりますか?そして、えぇ・・あ、ちょっと境界面が滲んでるように見えますね」
言われてみれば、そのような。

いや、どっかで会ったことあるんじゃない?この先生。なんか見覚えがあるんだよなぁ、なんでだろ?

「・・ま、そういうわけです。」
は?
「少なくとも、前立腺は肥大しています。」
・・はい
「その原因を調べないといけません。」
モトヨリソノ覚悟デ受診シテオリマスガ。
「精密検査、です。」
ハイ
「まず造影剤を点滴で入れて、CT画像を撮ります。」
ハイ
「うん、そして生検、です。生体組織を直接採取します。あっと、麻酔を使って直接、生検針で10ヶ所程度採取。で、病理検査をするわけです。」
ハイ
「ま、一泊入院、です」
?えぇ!入院の準備なんかしてきてないぞ。
「ではスケジュールですが、うーん・・当科の手術は毎週木曜日となってますから・・っと、2日、・・2月2日が空いて・・うー・・うん、空いてます。いいですか?」
えええ、そんな先なの!今日はないの!!

「で、CTは通いでできますから・・っと1日でいいですね。」
はぁ、もうどのようにでも。
「では、CT造影2月1日15時から、点滴2時間かかりますから12時50分に、生検のほうは、っと2月2日8時30分来院で。」
「事前資料、検査同意書、予約票などお渡ししますので待合でお待ちください。」


肩すかし、である。
よくよく考えたら、初めて来たその日のうちに・・いやぁ、ないない、でもね・・

確かに他人事のような気分で来たよ、来たともさ。しかし、血を採られたり、尿を提出したり、レントゲン台に乗っかったりで、俺はじっくりと着々と高揚してきていたのだ。覚悟を決めてきていたのだ!
どうしてくれる?

「・・で、ここにはサインをお願いしますね。それと、この書類にはご家族か誰かの署名も」
看護師さんの説明を遮る。
「いないんですよね、そういう人。」
「ではお友達とかに」
え、そんな簡単な・・

診療費を支払い、入院についてのあれこれを入院相談室なる部署でレクチャーされる。
ふむふむ、あ、スリッパは用意してくれるわけだ。パジャマと洗面一式ね、解りました。箸?ほぉ、なるほど。イヤホンか、うん、いるかもな。

当座のお薬(美人医師の処方と同じもの、気休めだね)を待っていた薬局で天啓が閃いた。




錦鯉の渡辺
だ、M-1の、あのハゲを小気味良くひっぱたく。そうか、似てるわ、うん。

なんとなくスッキリ。



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