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★児童・生徒指導87★生徒指導提要から考える その25(いじめ)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

今回は「第4章 いじめ 」に焦点を当てていきます。

「4.3 いじめに関する生徒指導の重層的支援構造」において、いじめについても、生徒指導の4層の指導構造である①発達支持的生徒指導、②課題未然防止教育、③課題早期発見対応、④困難課題対応的生徒指導の視点が重要であることが説明されています。

そして、「4.3.1 いじめ防止につながる発達支持的生徒指導」では、発達支持的生徒指導における留意点として、以下の4つが述べられています。

①「多様性に配慮し、均質化のみに走らない」学校づくりを目指す
②児童生徒の間で人間関係が固定されることなく、対等で自由な人間関係が築かれるようにする
③「どうせ自分なんて」と思わない自己信頼感を育む
④「困った、助けて」と言えるように適切な援助希求を促す

文部科学省「生徒指導提要」P130・131

①の「『多様性に配慮し、均質化のみに走らない』学校づくりを目指す」について考えてみると、学校や学級内では、積極的に多様性を認めていこうとする場面と、均質化を求めていこうとする場面が混在していると感じます。


例えば、授業中のある場面ではひとりひとりの異なる考え方や意見を認めていこうとする指導がなされる一方で、着席をして静かに授業に参加するということが一様に求められるということがあるかもしれません。

例えば、授業中のある場面ではひとりひとりが自分で判断して、追究の仕方を選択し、過程をたどり、学習の目標を達成するように求める一方で、教室移動の際には全員で並んで、決まったルートを通って動くことを求めるということがあるかもしれません。

これらは、もちろん発達段階において、安全面や学習の効果、学校・学級の事情などを考慮した結果であることもあるため、一律に「よくない」などと言いたいわけではありません。

しかし、このような多様性と均質性を求める働きかけが混在していることに対して、(明確に言語化はできていなくても)違和感を感じている子どもたちもいるのではないかと思うのです。

一斉、一律の指導の在り方から、多様を認めていこうとする指導の在り方がさけばれるようになってきていますが、個別の状況によって、どのように指導をすることが望ましいのかは変わってくると思います。それが、「多様性に配慮し、均質化のみに走らない」の「のみ」に表れているのではないでしょうか。したがって、一律にどちらがよい、よくないと判断できるわけではないと思いますので、少なくとも教師は、このような違和感を抱えている子どもがいるのではないかということを念頭に置いておく必要があると考えています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。