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教育支援センターから No2 「居心地のいい場所」以外の役割

教育支援センターは、不登校の子どもにとっての安全安心な居場所であることが重要です。

私たち支援員もできるだけ子どもたちが、安心して本来の自分を出せる場となるように工夫しています。

そのかいあってか、このところ利用者が増え始め、通ってくる子どもたちもそれぞれに自分の時間を過ごしています。

なかには「ここ(センター)に来るのが楽しくて仕方がない。」という子もいます。

私たちはそういう子どもの声を聞くたびに、うれしくなります。

でも、時折感じるのです。
センターは、「居場所」であるだけでいいのだろうか、と。

そう考えるきっかけとなったのは、登録している子どもたちのデータを眺めているときでした。

登録者の8割が特別支援学級に在籍している子なのです。
特にその傾向は小学生に強く、特別支援学級に在籍していない子は登録者10数名のうち、たったの1人しかいません。

本来、特別支援学級というのは、特別な支援が必要だとされているからこそその学級に在籍しているわけです。
しかし、センターではその「特別な支援」が十分にできる環境ではありません。
子どもが楽しいと感じているからそれでいいのかどうか、悩ましいところです。

それと、そもそも特別支援学級は、8人を上限とした少人数で編成されています。
通常学級に比べれば、「居場所」は確保しやすいはずです。
にもかかわらず、センターには特別支援学級経由で入所してくる子があとを絶ちません。
これは、彼(彼女)らが少人数であっても、居場所と感じられなかったということです。

確かに、少人数となると人間関係が濃いものになるため、少しのいさかいが長く続きやすくなるケースもあります。
そうしたことがきっかけで教室に入りにくくなることは十分あると思います。

私は特別支援学級が少人数編成だから、担任は楽だとは思いません。
むしろ、個々に違う個性や特性がはっきりしているため通常学級の何倍もの労力がかかることは十分認識しているつもりです。
また、学校批判をしようとしているのでもありません。
すべては現状に合わない学校のシステムが根本的な原因であり、インクルーシブ教育が声高に叫ばれている割には、すべての子どもたちが同じ場で過ごせる方向に必ずしも施策が向いていないことによる弊害だと思います。

それでも、学校が不登校の子に対してどれだけ本音を聴こうとしてきたかということは、しっかりと校内で検証されるべきでしょう。
多くの子どもたちが苦しむのは、自分の本当の気もちをしっかりと受け止めてくれる大人がいないときです。
逆に言えば、一人でもそういう大人が身近にいれば、多少のトラブルや困難は乗り越えられるのではないかと思うのです。

このように考えてくると、教育支援センターの役割は、子どもたちの安全安心の場でとともに、センターに通ってくる子やその保護者の声を学校に効果的に届けることも非常に重要な役割だと思うのです。

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