酸素マスクを最初に着ける人
飛行機が飛行中に緊急事態が発生したとき、真先に酸素マスクを装着するのは機長なんだそうです。
乗客の命を守るためには、機長の命をまず確保しなければならないからだそうです。
学校の子どもの命を守り、育てるという意味ではまず先生の健康が確保されなければいけません。
先生が精神的・肉体的に疲れ切っていたら、子どもの命を守ることはできません。
けれども、学校にはあまりに多くの「やるべきこと」がのしかかってきました。
教育改革が叫ばれるたびに、次々とやることが増えていったのです。
小学校の英語活動の教科化、
道徳の教科化とその評価、
キャリア教育とキャリアノート。
食育、
金融教育……。
そしてそれぞれに課される年間指導計画。
どれも、一つひとつを見れば子どもにとって有益なことには違いありません。
子どもにとって「良いこと」です。
でも、増えるばかりで、減らされるものは一つもありません。
結局、事務量が増える一方で、一つひとつが中途半端にしかできません。
最近になってようやく教員の超過勤務の長さが話題になるようになりました。
中教審でも議論されています。
でも、そこからでてくるのは、調整手当を4%から10%に引き上げるとか、管理職、主観教諭、教諭以外のポストを新たにつくるとか、根本的な打開策とは程遠いものばかりのように思えてなりません。
どれも機長が最初に装着する「酸素マスク」の代りになるものではないのです。
調整手当を引き上げても、業務量が変わらなければ意味がないですし、新たなポストは職員室に新たな分断を生み出すだけです。
そして、最大の犠牲者は「子どもたち」です。
学校に行けない子どもがあえいでいるのに、そこに寄り添えないようなシステムばかりが強化されています。
こういうことを何とか少しでも改善の方向に向けるために、何ができるだろうと、今、結構真剣に模索しています。
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