保護者対応の基本的姿勢
最近「カスタマーハラスメント」(顧客や消費者からの悪質なクレームや要求を受けること)が話題になっています。東京都では、全国初の「カスタマーハラスメント防止条例」(カスハラ防止条例)が制定され、2025年4月1日から施行されることになりました。
学校でも、保護者対応(クレーム対応)が教員の大きな負担となっており、教員不足の一因だとも言われています。
保護者からの要求がすべてクレームなのではありませんが、どう考えても理不尽と思えるものも少なくありません。
そこで今回は、大阪教育大学山岡賢三研究室発行の『保護者対応校内研修のススメ』(2021)の中から、そのポイントを可能な限り列挙してみました。一つでも「使える」と思えるものがあれば幸いです.。
( )内は私の見解です)。
<保護者対応の基本的姿勢>
・PTA活動など日頃からの保護者との付き合いを大切にする
(話しかけやすい先生になる)
・保護者の怒りを静めるため、場を変える
(校長室に通す、お茶を入れるなど)
・保護者に寄り添い、気持ちを受け止める
(お母さんも大変ですねなどの受容)
・保護者の言い分を整理する
(何に対して立腹しているのかを明確にし、言葉にして相手に柔らかく伝
える)
・助言は、保護者が落ち着いてから
・保護者と課題を共有する
・丁寧な電話対応を心がける
(電話は、顔が見えないので誤解が生じやすい。相槌には必ず「はい」を
使う。「うん」を使うとそれだけで逆上する場合もある)
・教師(学校)に落ち度があれば、素直に謝罪する
・対立ではなく対話の場とする
<生きづらさや葛藤を抱えた保護者への対応>
・会う場所を限定する
・できるだけ勤務時間内に会う
・状況に応じてカウンセラーやソーシャルワーカーの協力を仰ぐ
<その他>
・校内研修でロールプレイングを行う。保護者役、教師役を決める。
・できるだけ早期に教員間で情報を共有する(タブレットなどの活用)
<番外編>
(これは私がかつて県教委にいたときに上司から教えられた内容です)
・教員の不祥事が発覚した際のマスコミ対応の基本は、「嘘をつかない」こ と。隠ぺいしようとしていると思われるとマスコミはさらに厳しく追及してくる。
特に、該当教諭の年齢や役職など明らかに学校側が把握していることを隠すのは最もよくない。
校長不在の時は教頭が対応するが、校長の帰校予定時刻を知らせて、再度電話をするように依頼するなど一旦態度を保留することも必要。はっきりしないことは、必ず校長が答えるかしっかりと確認してから伝える。
・時系列で記録を整理する。ノートにメモを取る場合は必ず時間や場所を書き留めておく。
大きなトラブルが起こった場合には多方面から次々に情報が入ってくるため時系列に整理することが難しくなる。
エクセルなど表計算ソフトを使い、情報が入った順に「20241001」(2024年10月1日)といった日時がわかる数値を入力しておくと、ソートすればすぐに時系列に並べることができて、緊急時には大きな力を発揮する。。