見出し画像

新卒者にとって教職の魅力は本当に減退したか?

全国に広がる教員不足は深刻です。
先日、他県に勤務する知り合いに聞いたところ、学級担任する教員が不足しているため、複数の特別支援学級を同時に受け持っているそうです。
その人は正規採用ではありません。

教員不足の主な原因としては、主に以下の4つが考えられます。
(1)大量採用された世代の定年退職の補充のために採用者数が増えていること
(2)少子化により民間企業も人材不足が深刻で、教職以外の道を選ぶ人が増えたこと
(3)長時間労働や部活動指導など「ブラック」な職場環境と見なされていること
(4)教員の不祥事などの報道によって教職への信頼が低下していること
ただ、上記4つの中で(2)に関しては少し誤解があるようです。 

現在は採用試験の倍率が過去最低を更新中です。ただ、これは本紙も含めさまざまなメディアが分析しているように、新卒受験者が減っているのではなく既卒者、つまり他の業種経験者や再挑戦者が減っているということです。

赤坂真二 第1回 「教職の魅力」は本当に低下しているのか」2024年9月17日付教育新聞デジタル

そのうえで赤坂氏(上越教育大学教授)は、「新卒者から見た教職の魅力はそれほど変化していないのではないか」と分析しています。

「まっさらな」新卒者は、学校現場の厳しさを知りません。
自分の小中学校時代の思いや教育実習生という限られた経験があるだけですから、本当の厳しさを知らないだけなのかもしれません。
けれども、今、教員をしている人たちも最初はみんな不安でいっぱいだったはずです。
同時に期待と夢も大きかったことでしょう。
そして、それを学校現場で実感できたからこそ、教員を続けてこられたのです。
恥ずかしながら私は、採用試験に合格したとき「学校から偏差値教育をなくしてやる」と意気込んでいました。(今思えばよくもまあ大それたことを考えていたものだと赤面します。)
そして、実際に赴任してみると、右も左もわからない中で右往左往し、1年目の学級は見事に崩壊しました。偏差値教育をなくすどころのさわぎではありません。

そんなとき、私を支えてくれたのは同期の仲間であり、多くの先輩方でした。
おかげで、2年目からは少しずつ学級担任や部活動の顧問として、子どもたちにかかわる喜びを味わうことができるようになりました。

私は校長になってから、小学校でも中学校でも、新任の先生に伝えてきました。
「これからの学校教育の中心になるのは、あなたのような若い先生です。どうか、思ったことをどんどん提案してください。そして、今しかできない失敗をたくさんしてください。」

これから入ってくる新卒者の人たちも私たちと同じように夢と希望を持ってこの世界に入ってきます。

そう考えると何だかわくわくしてきませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?