見出し画像

第142話 『4/8woman写真展』ウラ話⑦〜美乃すずめへ


藤かんなの本音が知りたい

「かんな先生———」
 2024年12月29日、午後8時。『4/8woman写真展』の打ち上げ。美乃すずめは私の前で正座になった。
「今日、私にムカついたこと、noteにボロクソ書いてくれへん」
 え。
「良いやん。いったろや。『美乃すずめへ』ってタイトルで良いやん」
 エイトマン社長はノリノリ。
「今後、私たちの関係をもっと良くしていくために、かんな先生に書いてほしい」
 ほんなら言うけど、「先生」はわざとらしいからやめて———

 なぜこんなのことになったのかというと、時間は遡り、同日の午後3時。13日間にわたる『4/8woman写真展』の締めの挨拶で、美乃すずめがこう言った。
「エイトマンは18周年なんです、今年・・・・・・去年で(写真展は)終わるって言ってて、今年もあったやん。来年19周年。再来年20周年。絶対(写真展は)あるで」
 問題は次の発言。
「でも宣言します。私はもう引退しますから。寧々ちゃんがやってくれたみたいにサポートに回りたいと思います」
 ・・・・・・
 しけるわぁ。
 右を見ると、つばさ舞の口角は見事に下がっていた。

手前、口角の下がったつばさ舞
(吉高寧々インスタグラムより)

 時を戻そう、打ち上げの席。私たちは「今回の写真展もたくさんのドラマがあったな」と振り返っていた。
「在廊も4人並ぶと、しんどかったわ・・・・・・」
 つい私の本音が漏れた。
 私はこれまで、写真展ではスタッフだった。だから楽だった部分もあった。人間が並ぶと、必然的に比較される。身長、胸の大きさ、手脚の長さ、顔の作り。
 そして今回は比較される側。しかも美形高身長女たちと。横に並ぶとまるで大人と子供。高身長女がヒール履くなよ。

美乃すずめと私

「かんなちゃんの本音が知りたい」
 私の「しんどかったわ」発言をきっかけに、つばさ舞がズバリと切り込んだ。
「友情関係って、本音言ってシバキ合ったほうが早いねん。良い機会やし、ほんまに思ってること言うて」
 ほな、せっかくやし、言わせてもらいましょか。私は話し始めた。

美乃すずめに本音を述べる

「最後のすずめさんのセリフはまずかったね」
 写真展の締めの挨拶。「引退します」「サポートに回ります」発言のことだ。
「寧々ちゃんみたいって言ってたけど、寧々ちゃんは決してサポートに徹したわけじゃないし———」
 吉高寧々は今回、自分の写真展ではないのに、写真展期間の半分は会場に来てくれた。インスタライブ、『はだかの白鳥』朗読会に参加、寧々ファンに写真を勧めてくれた。写真展をさらに盛り上げてくれた。
「それにすずめさんがあんなこと言ったら、これまで2回の『8woman写真展』と『#寧々密会』、ずっとスタッフをしてた私の立場、どうなんねんって思った」
 サポート役を下に見られている感じがして、腹が立ったのだ。
 確かにサポートの方が気楽だろう。女優同士で比較されず、評価されずに済む。それに今回の写真展では『4/8woman総選挙』と称して、写真作品の売り上げを競わせ、最終日に結果も公表した。美乃すずめは4/8womanの中で、最も女優歴が長い。プレッシャーもあっただろう。
 結果、1番売り上げが高かったのは、つばさ舞。からの、美乃すずめの「引退します」宣言。
 締めの挨拶で、「1番になれなくて悔しいです。でも勝つまで闘います!」って言った私の拳、どないしてくれまんねん。

 これまでの美乃すずめを見ていて思うことがある。彼女はなんだかんだ言いながらも、表に出るのが好きだし、人の目を惹きつけるオーラがある。
 大阪で例えたら、梅田や難波ではなくて「北新地」。しかも一番道幅の広い新地本通りでなくて、老舗のクラブが立ち並ぶ「堂島上通り」。エイトマン社長はレンジャー戦隊の「黒レンジャー」と例えたらしい。そっちの方が上手いかも。

2023年度『8woman写真展』
裏方だったから見られた谷間もあった

 その意を込めて、さらに言葉を贈ります。
「すずめさんは絶対に裏方はできない人なんですよ」

つばさ舞の本音も書き残す

「ほんまやで! すずめさんは『出たくない』ってよく言うけど、出てもうてる人なんですよ」
 つばさ舞が喝をいれる。
 美乃すずめはよく「出たくない」と言う。3回目の『8woman写真展』は「もうやりたない」。ゴッドタンの『イチャマングランプリ』も「目立ちたくない」。Netflix『地面師たち』も「表に出たくない」。
 出たくても出られへん人間のことも考えろ。仕事なんて普通、断ったら二度ともらわれへんねん。エイトマンも甘いわ。

 美乃すずめ黙って訊き続ける。雑味のないこの真っ直ぐさが、またずるい。
 ただ今回の写真展。マイペースで物怖じしない彼女がいてくれ、心強く感じたのも本当。
 写真展、8日目。彼女に『はだかの白鳥』を一緒に朗読してもらった時。
「でも今、私には味方がいてるねん———」
 第4章、318ページ、10行目。ここを読んでいるとき、「ほんまに味方おったな」と、隣に座っている美乃すずめを強く感じた。朗読を中断して、「ありがとう!」とハグしたい気分だった。

美乃すずめと『はだかの白鳥』を朗読

 それに思い返すと「寧々ちゃんがやってくれたみたいにサポートに回りたい」の言葉にも、彼女なりの思いがあったのかも知れない。
 5月に開催した吉高寧々の単独写真展『#寧々密会』。美乃すずめは会場にやってきて、自分のファンに吉高寧々の写真を勧め、写真展を盛り上げていた。吉高寧々が私たちの写真展にしたことを、先にしていたのだ。
 美乃すずめはよく言う。
「つばさ舞や藤かんなが来て、エイトマンが変わった気がする」
 4/8womanの中では最もエイトマン歴の長い彼女だ。エイトマンに対する思いは、私が抱くものよりもっと濃いだろう。
 だからこそ闘いの前線にいやがれ。漆黒の孤高の存在でありやがれ。

(左から)美乃すずめ、八蜜凛、藤かんな、つばさ舞

「すずめさんの、自ら欠点を聞きにいくところ、かっこ良いです。でもな、かんなちゃん———」
 つばさ舞が私に囁く。
「酔ってる時のすずめさん、タチ悪いってことも書いといて」
 言いにくいことは書きましょう。すずめさんは酔うと記憶がなくなりがちなので、書いて残しましょう。これは私の役割。

(左から)つばさ舞、八蜜凛、吉高寧々、
美乃すずめ、藤かんな

 

いいなと思ったら応援しよう!

藤かんな
サポートは私の励みになり、自信になります。 もっといっぱい頑張っちゃうカンナ😙❤️