第70話 エイトウーマン写真展2023⑫〜つばさ舞さん、凪ひかるさん、藤井蘭々さんと「またね」で別れる〜
12日目
つばさ舞さんとの深い話やしょうもない話
つばさ舞ちゃんがスーツケースを2つも転がしてやってきた。彼女はメキシコへ旅行のあと、直接写真展に来たのだ。
「舞ちゃん、昨日弟さん来てなんて言ってたん?」
昨日、舞ちゃんの弟が写真展を観に来てくれていた(第68話参照)。
「『姉ちゃん、綺麗に撮ってもらってるやん。ほんま頑張ったよな』って。ちょっと上から目線やったけど、褒めてくれたわ」
舞ちゃんもやはり、弟の発言を”なんか上から目線やな”と思っていたようだ。
「でも、来てくれて嬉しかったー。ちゃんときょうだいで共有できるって良いなと思った。やっぱり親には言われへんからさ。仕事のことはずっと作り話してるし・・・」
「弟来て嬉しかった」という感想より、「親に仕事のことは作り話をしている」という部分に興味を持っていかれた。
彼女は「仕事は事務職をしている」と両親に言っているらしい。「先輩の〇〇さんに仕事が遅いって言われて・・・」や「上司の△△さんはよくしてくれるんやけど、だから〇〇さんに目をつけられて・・・」などと、完全に架空の人物、妄想の仕事話を両親にするそうだ。
”そんなモデル級ボディで事務職は無理があるやろ”と、ツッコミたい部分はたくさんあるが、架空の仕事話が咄嗟に出てくる舞ちゃんには脱帽である。
その後も舞ちゃんはお化けが怖かった話、デビュー作撮影前日の話、八蜜凛ちゃんの前世占いで舞ちゃんは「コンドル」だった話(「舞ちゃんはミーアキャットが好きやからコンドルやねん。コンドルはミーアキャットを食べるねん!」と言われたそうだ)など、深い話やそうでもない話をたくさんした。
「また次は12月のイベントでね!ネタたくさん仕込んでおくわ」
そう言って舞ちゃんは2つのスーツケースを転がしながら会場を後にした。次会える日が既に決まっていることが嬉しかった。私もたくさん話のネタを仕込んでおこう。
天国るるさんは聞き上手
天国るるさんがやってきた。昨日の在廊で忘れ物をしてしまって、それを取りに来たそうだ。
「かんなちゃん、私もバレエしてたんだよ」
るるさんはそう私に話してくれた。
「えー!今は!?」
「今はもうしてないんだけど、最近またやりたいなって思ってるねん」
やりましょうやりましょう。バレエもAVも復活して、バレエをテーマに共演しましょう。
「バレエって重力に逆らった動きするじゃないですか。私、重力から解放されたすぎて、最近プールに行くようになったんです」
私はバレエの話ができることが嬉しくて、その勢いでプールの話までしてしまった。
なぜほぼ初対面のるるさんに、私はプールの話までしてしまったのだろう。おそらくるるさんは聞き上手なんだと思う。彼女の放つ優しい空気に気持ちが緩む感じがした。
天国るるさんともまた再会できますように!
凪ひかるさんとの他愛もない話
凪ひかるさんは私のnoteを読んでくれていた。
「私の話も読んでて楽しかった。ありがとう」
彼女はそう言ってくれた。
ひかるさんの回(第66話)はとても反響が大きく、
「ひかるさんのイメージ変わりました」
「あんなにかっこいい方なんですね」
と会場に来たnote読者からの感想がたくさんあった。
私がエイトウーマンを文章で書くことで、彼女たちの印象をさらに良くすることができる。嬉しかったと同時に、文章のもつ力に感動した。
「あの日ひかるさんが『感動したものにはお金を払いたい』って言ったことに感動して、写真集『凪』買ってん。凪ひかるに感動したからお金を払いたくなった」
「えーありがとう。私、かんなちゃんの本が出たら、買うわ」
それを聞いていた西田さんが「凪ちゃん、素晴らしいこと言うね。僕もその通りだと思うよ」と感心していた。
それからひかるさんとはアニメの話、海外ドラマの話、サブスクの話(ひかるさんは5種類ものサブスクを契約していた!)。ゲームの話、プレステ5ではハリーポッターが面白かった話、プレステ4では進撃の巨人にハマった話など、本当に他愛もない話をたくさんした。
「お互いアニメとかゲーム好きなイメージないよね。きっと」
「ほんまやね。少なくともひかるさんにそのイメージなかったわ」
楽しい時間だった。
「また12月ね!お疲れさまー」
彼女はそう言って会場を後にした。「またね」と言えることが嬉しかった。
藤井蘭々さんとはもっと話したかった
「蘭々さん、なんで骨折したん?」
「転んじゃったんです」
みなさんお気づきだっただろうか。彼女は前回の在廊で足にギブスをつけていたのだ(第60話の写真参照)。この日は脚のギブスは外れていたが、半ば強引に取ってもらったそうだ。
「骨折してからまだ3週間なので、本当はまだ取っちゃダメなんですけど、お医者さんに無理言って取ってもらいました」
そう言う彼女は髪をバッサリ肩くらいまで切っていて、見た目もさっぱりしていた。
「かんなさんのnote見てます。面白いです」
彼女はそう言ってくれた。今年の写真展では蘭々さんと多く会話できなかった。次会う時はもっと彼女のことを知って、魅力を教えてほしい。
「足気をつけてね。また12月のイベントで」
「またね」と言えることがやっぱり嬉しかった。
AmazonやNetflixと闘っている男がやって来た
表題の通り、世界的企業AmazonやNetflixと闘っている男性が来てくれた。詳細はあまり書けないが、はるかにスケールの大きなのモノと闘っている方だった。
そんな彼に「どんな人生を送って来たんですか?」と聞いてみた。彼は言った。
「色んな人に興味持ってもらうけど・・・そんなにドラマチックなものではないですよ。ただ、20年前の自分に会ったら『よくやってんじゃん』って言うかなと思う」
彼の話の中で「仕事にキュンキュンする」という言葉が印象に残っている。
私の想像が及ばないようなスケールの大きな仕事をしている人だから、もちろん想像もつかないような闘いをたくさんしてきたのだと思う。
だが、「仕事にキュンキュン」し続けている彼からしたら、他者が壮絶な闘いだと感じるものも、そんな大そうなものとして認識していないのだろう。だからどんどん大きな世界にいけた。
「自分が今いる立場になるなんて、全く想像もしていなかった」
彼はそう言った。大きな世界にいる人たちはみんなそう言う。でもこの答えもわかってきた。きっとただ「仕事にキュンキュン」してきただけなのだ。
"すごいな!"と思う人ほど、やっていることや考え方がシンプルだったりする。そんなことがこの写真展で色んな人と会って、さらにわかってきた。
自分のことに当てはめれば、私はこんなに怒涛のように文章を書くことになるとは思いもしなかったし、自分の文章が何万もの人に見てもらえるようになるとは予想だにしていなかった。
ただ、文章を書くこと、特にこの2週間の写真展で見たドラマを書くことはとてもキュンキュンした。
まだ私のいる世界は小さいが、これから大きな世界が待っているような気がして、これもまたキュンキュンする。
写真展はついに最終日。キュンキュンするね!
サポートは私の励みになり、自信になります。 もっといっぱい頑張っちゃうカンナ😙❤️