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第74話 エイトウーマン2023年最後のイベント〜写真展3年で終わって「あ〜いとぅ〜いまて〜ん!」
2023年12月17日。小学館でのエイトウーマンラストイベントだ。今回はスタッフとして受付に座るのではなく、司会を任さてもらった。
司会台に立ち、会場を見渡す。見知った顔がたくさんあって、懐かしい気分だった。みんな写真展に来てくれた人ばかり。イベントでは心に残る出来事がたくさんあったが、その中でも特に心に残ったことを書き残しておこう。
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つばさ舞は逃げなかった
イベントが始まる前、彼女は緊張していた。
「最後の終わりの挨拶で、これを言ったら先輩たちに失礼になるかな」
どうやらエイトウーマンに対する自分の本音を話すつもりなようだ。本番が始まる直前までもずっと気にかけていた。
本番が始まり、先頭を切って会場に入ってきたつばさ舞さん。いつも以上の笑顔で足取りはとても軽やかだった。始まりの挨拶も、その後のトークもしっかりとしていた。さすがゴットタンのイチャまんグランプリをやり抜いてきただけある。
終わりの挨拶がやってきた。
「私は2年目、3年目のエイトウーマン写真展に出させてもらいました。この写真展が終わったとき、葵つかささんや吉高寧々さん、美乃すずめさんは泣いていらっしゃったけど、私は全然涙が出なかったんです。きっとエイトウーマンを3年間作り上げてきた先輩たちと、途中から参加した私との気持ちの違いだと思いました」
彼女は悔しさを全面に表した。
「私にとってはエイトウーマンはひとつのステップだと思っています。これから長い人生、長いAV女優の人生、ステップを一段一段のぼっていきたいなと思います」
”エイトウーマンは私にとってステップ”。隣に葵つかささんや吉高寧々さん、美乃すずめさんがいるにもかかわらず、全く忖度せずに言った。悔しさを全面に出し、これからのやる気を見せ、先輩を超えていくんだと宣言した舞ちゃんは、かっこよかった。彼女はこの日、逃げなかった。
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吉高寧々の前世占いに対する華麗な返答
イベントで最も盛り上がったのは、八蜜凛さんの「エイトウーマンの前世」ではないだろうか。人の前世が見える凛ちゃんが、エイトウーマンたちの前世を発表していくコーナーだ。
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凛ちゃんは始まる前「私は今日、みんなに嫌われると思う」と心配していた。彼女が見えた前世はなかなかクセの強いものばかりだったから。
しかしいざ本番が始まると、凛ちゃんは占い師になり切って、堂々と前世を発表していった。
その中で印象に残ったのは吉高寧々さんとの掛け合いだ。彼女の前世は「オシャレな靴べら」。これまで発表されたみんなのは、”生き物”だったのに、寧々ちゃんから突然”物”になった。寧々ちゃんは一体どんな反応をするのか、正直私も心配だった。
「寧々ちゃんはすごくオシャレで滑らかな靴べら。滑るのもすごく好きだから、きっと滑り台とかローションが好きだと思います」
凛ちゃんが真っ黒な大きな目で寧々ちゃんを見て言う。
「どうですか? 寧々ちゃんはローションとか滑るものが好きですか?」
私がドキドキして聞く。
「大好き! だからたぶん凛ちゃんの占い、めっちゃ当たってると思う」
この時の寧々ちゃんの笑顔は今も覚えている。”すごく気持ちの良い返答だな”と司会進行をするのこちらが嬉しくなった。内容も間もテンションも素晴らしかった。
このおかげで、次に藤井蘭々さんが「ナップサック」、天国るるさんが「ハムの紐」と言われても良い雰囲気で進められた気がする。
それにしても凛ちゃんには本当に前世が見えているのだろう。彼女は天才だ。
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鷲尾めいの一番ヘラヘラしていない涙
鷲尾めいさんは始まりの挨拶でこう言っていた。
「このイベントも3回目なので、最後はみんなとヘラヘラ楽しめれば良いなと思っています」
「ヘラヘラはあかんやろ」とつかささんやすずめさんからつっこまれてはいたものの、めいさんらしいコメントで場を和ませていた。
そして終わりの挨拶、
「エイトウーマンに3年間携われてすごくっ・・・」
言葉を詰まらせ、めいさんは泣いていた。
「これまで1回も泣かなかったのに、一番泣かへん人が泣きます」
と自分のことを笑いながらも泣いていた。「今日は泣いていいよ」とすずめさんがフォローする。そして詰まりながらも言葉を続ける。
「携われてよかったですし、私たち以上の熱量と愛情をもって接してくれた、西田さんはじめ、スタッフのみなさん、スタイリストさん、メイクさん、写真展作ってくださった業者さんに感謝しています。そしてなにより、いつもワクワクするものを提供して、新しい世界を見せてくれる事務所のみなさんに、すごくありがたい気持ちでいっぱいです。
これからも仕事に関わってくれてる方々に、敬意と正義と感謝を忘れず、お仕事していきたいと思います。そして今回のエイトウーマン以上の企画ができるように、頑張っていきたいと思いますので、ついてきてください。よろしくお願いします」
誰よりもヘラヘラしていない挨拶だった。本当は熱いものを持っているのに、そこをあえて隠そうとする。そんなめいさんの不器用さが愛おしく感じた。
ですよ。さんとの一生懸命な謝罪で会場が一つになる
イベントの締めの言葉をエイトマン社長が言った。
「3年間ありがとうございました。3年目でいきなりやめますと宣言して、皆さんに申し訳ないと思っています。だからこれまでの感謝の意も込めて、ちゃんと謝罪をしたいなと思います。
今日は謝罪のプロを呼んでいるので、その方に来ていただきたいと思います。『ですよ。』さんです」
真っ赤なTシャツとキャップ帽のですよ。さんが登場した。ですよ。さんは今年の写真展にも来てくれていて、その時は黒の服を着たおとなしい人だった。だがスイッチの入ったプロはやはり違う。
「ですよ、ですよ、ですよ! 皆さん僕のこと知ってますか? 今日はちゃんとした謝罪を教えに来たんですけども、一緒にやっていただけますか?」
大きな拍手が起こる。みんなとてもワクワクしている様子だ。
「お客さんも今後、謝んなくちゃいけないことがいっぱいありそうな人達なんで、皆さんでやりませんか?」
会場拍手。”謝らなくちゃいけないことがいっぱいありそうな人達”は個人的にすごく面白かった。
「じゃあまず最初に見本を見せますね。僕はこれだけで20年やってます」
20年もこのネタをやり続けているのか。私の人生の3分の2である。
ですよ。さんはここに登場するまでもずっと、会場の裏でネタを練習していた。こんなに一生懸命な人を、応援できないわけがない。
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ですよ。さんの謝罪「あーいとぅーいまてーん」で会場は大盛り上がりだった。エイトウーマンはもちろんだが、お客さまもみんな、楽しんでくれたのではないだろうか。しっかり謝罪をして、みんなで大笑いをして、最高の空気の中、イベントは終わった。
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「かんなさんは文章を書く覚悟をしたんですね」
みんなが会場を後にする。お客さまの中には、私に手を振って帰っていく人、話しかけに来てくれるがたくさんいた。私もしっかりエイトマンの一員だなと嬉しくなった。
お客さまがはけた後、エイトウーマンと、ですよ。さんで集合写真を撮っていた。私はそれを見て、思わずカメラを向けていた。記憶に残しておかなくてはと、写真展でスタッフをしていた時の気持ちが湧いてきた。
この日、一緒に司会をしていた小学館編集者の間宮さんが、写真を撮っている私を見て言った。
「かんなさんがエイトウーマンに混ざりにいかないのを見て、本当に文章を書く側になる覚悟を決めたんだなと思いました。身が引き締まる思いでした」
そんな大層な気持ちではなかったが、「そうなんです」と答えた。でも間宮さんが言ってくれたことは間違いではない。
キラキラと一生懸命なエイトウーマンたちを隣で支えて、楽しそうなお客さまたちを見て、そしてその時のことを、こうして文字に残しているのが、愉しい。思い出を綴る日記がどんどん分厚くなっていくのが、愉しい。
だからこれからもエイトマンの一員として、エイトウーマンに携わり、その思い出をしっかり書き残していこうと思う。人生は思い出づくりだから。
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![藤かんな](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106971771/profile_6b68c4740976d61e0768914b88554b5c.jpg?width=600&crop=1:1,smart)