第65話 エイトウーマン写真展2023⑦〜美乃すずめ最終在廊日に弟がスタッフをする〜
7日目
ジュリア・ロバーツ似の新エイトマン女優『春うらら』
「今日、新しくエイトマンに入る子来るから。名前は『春うらら』。とりあえず色々話してみて」
開場前、社長が私に言った。またもや新エイトマン女優がやってくる。
エイトマンが注目をされているから女優志望者が増えているのか、エイトマンが女優を増やそうとしているのか・・・。私は前者だと思う。
開場してしばらくすると、山中さんがスリムで背の高い女性と一緒にやってきた。おそらく彼女が『春うららさん』だろう。
私は会場を見て回っている彼女に話しかけた。
「春うららさんですか?」
「え・・・、違います」
「・・・・・」
”どうしたものだろう・・・”
土地勘のない場所で、海外に人に道を聞かれた時のような気持ちになった。
ちょうどそこへ山中さんがやって来た。
「あの方、春うららさんじゃないんですか?」
そうこっそり聞くと、
「うららさんです!」
と、結構な声量で答えてくれた。
「え!?そうなんですか!?」
うららさんは驚いた。きっと『春うらら』という名前は社長が決めたのだろう。彼女はまだ自分の名前が馴染んでいないようだった。突貫で決まった名前なのかな?
それから彼女と会場を回りながら話をした。
「ここのスタッフされてるんですか?」
彼女は私に聞いた。
「私も一応、女優やってるんです・・・」
つい”一応”と言ってしまうところが情けない。
「え!?すごいー!むっちゃ綺麗な人が受付してるなと思ってたんです!ここの写真の女優さんと十分並ぶくらい綺麗。いい意味でAV女優ぽくない美人ですよね。アナウンサーにいそう」
突然褒めちぎられ、私はたじろいだ。あまり褒められすぎると、”ほんまかいな”と思ってしまうのが人間の心理ではなかろうか。
しかし褒められ続けるうちに調子が狂ってきて、最終的にはハルカゼにふかれたような心地いい気分にさせられた。
春うららさん、なかなかのヤリ手なり・・・。
私は彼女と話していて、映画『ノッティングヒルの恋人』を思い出した。
”あ、うららさんはジュリア・ロバーツに似てるんや”
これはお世辞ではなく本当に似ていた。特に口と鼻が似ている。ちなみに私は『ノッティングヒルの恋人』が大好きだ。
ジュリア・ロバーツ似の新エイトマン女優に乞うご期待!
西田幸樹撮影、新エイトマン女優『朝海汐』
さらに新エイトマン女優『朝海汐さん』がやってきた。こうしてどんどん新しい女優が入ってくるのを見ていると、気が引き締まってくる。この業界がいかに入れ替わりの早い世界かを実感するからだ。
汐さんの宣材写真は西田幸樹さんが撮影した。
「宣材写真こそしっかり撮るべきだと思うよ。だって写真見てその子に会ってみようと思うかどうかが決まる可能性もあるから。
宣材写真の撮影であろうと、エイトウーマンのような大きなプロジェクトの撮影だろうと、僕がやることは同じですよ。そこに優劣をつけてはいけないからね」
「職業に貴賎なし」
いつかの西田さんはそう言っていたことを思い出した。
それにしても宣材写真を西田さんに撮ってもらうとはなんとも贅沢だ。それほどの期待の新人に違いない。『朝海汐さん』乞うご期待!
漫画家『たべ・こーじさん』もやって来た
漫画家『たべ・こーじさん』が来てくれた。ムッチムチ、ツッヤツヤのとても綺麗な絵を描く方だ。見たことない人は是非検索してほしい。思わず魅入ってしまうから。
たべ・こーじさんは、漫画『GANTZ』の作者【奥浩哉さん】がエイトウーマンのイラストを書いてくれていることに驚いており、とても感激していた。
「熟女も描いてくれるんですか?」
熟女No. 1メーカー『マドンナ』の専属女優である立場から聞いてみた。
「もちろん!どんな女性でも書きますよ!」
たべさんがエイトウーマンを描くとどうなるのだろう。是非見てみたい。
ちなみにたべさんの推しエイトウーマンは鷲尾めいさんだそうだ。
美乃すずめさんと弟の健太さん、それを見つめる洋さん
この日は美乃すずめさんの在廊最終日。すずめさんと写真展で会えるのが最後と思うと、やはり寂しかった。
しかしそんな湿っぽい気持ちはすずめさんのセクシースタイルを見た途端、一気に吹っ飛んだ。この日のすずめさんを生で見られた人はラッキーだったと思う。そのくらい彼女の抜群なスタイルが際立っていて、史上最大級に色気がすごかった。
すずめさん効果でなんと写真集『ドキュメント8woman 2021-2023』は完売。新たにポスターを販売し始めたが、こちらも破竹の勢いで売れていった。みんなすずめさんのサインが欲しいのだ。
恒例の<今日を振り返る会>には『美乃すずめさん』とすずめさんの弟『健太さん』、そしてオフショットを撮ってくれている『塩原洋さん』が来てくれた。
「今日のお姉さんの活躍見ててどうでした?」
この日、写真展のスタッフをしていた健太さんに聞いた。
「そんなに普段の姉と変わらなかったです。それに姉の働いてる姿を見られて嬉しかったし、ちゃんとやってるんや、すごいなと思いました」
「すずめさん、どうですか?」
「なんか、上から目線やなー」
そう言いつつもすずめさんは嬉しそうだった。
「写真展のスタッフする上でさ、一番心がけてたことはなんなん?」
すずめさんが健太さんに聞く。
「西田さんや女優さんたちに一番何もない状態で終わらせること。トラブルとか、危ないことがないように」
健太さんは女優がファンと接触する時が一番緊張すると言っていた。ファンが女優に何かするのではないかと心配になるらしい。
「でも、それは山中さんが100%で守ってるから、あなたの心配するところじゃないよ」
姉であり女優であるすずめさんがピシャリと言った。私はそれが微笑ましくもあり、すずめさんの言い分に賛同した。
健太さんは自分で色んなことをこなさなくては、と思っているような気がする。正義感がとてもとても強いのだろう。
彼は「そんなことない」と言うだろうが、まだエイトマンを信頼していないのではなかろうか。まあそれもそうだろう。信頼するには関わっている期間が短すぎるし、彼自身「人を信頼したことがない」と言っていた。「だから信頼してみたい」とも。
この時社長は席を外していたが、「エイトマンなめんなよ」と言っていたのではないだろうか。言わないにしても思ったのではないだろうか。
「健太くんが何をしても、逆に何もしなくても許容できる器はエイトマンにはあるから、安心しろ」と。
これまで人を信頼できなかった人が信頼できるようになるにはどうしたらいいのだろう。信頼するとかしないとか、難しく考えなくてもいい気がする。
"上手くやろう"、"気に入られよう"など考えず、とにかくぶつかっていく。それに尽きるのではないかな。そしてそれは私自身にも言えることだ。
<今日の振り返る会>の間、洋さんはあまり話さなかった。洋さんはカメラマンだからなのか、人の本質を見抜く洞察力が高い。この日の私たちのやりとりを見て、彼はどう分析しただろう。今度会ったときに聞いてみよう。
最後に、この日すずめ姐やんがズバリと言った一言。心に残ったので忘れないように書いておこう。
「自分は特別やって思ったほうがいい。マジで」
サポートは私の励みになり、自信になります。 もっといっぱい頑張っちゃうカンナ😙❤️