第56話 つばさ舞が"さいたまスーパーアリーナ"で舞う
ああ、まだ興奮が冷めない。さいたまスーパーアリーナで『つばさ舞ちゃん』が舞っていた。大きなステージで堂々と、長い手脚とおっきなおっぱいをたっぷり見せつけて。セクシーでキラキラした笑顔を振り撒きながら。舞ちゃんは誰よりも輝いていた。
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2023年9月21日。テレビ番組『ゴッドタン』が企画する芸人さんたちの音楽ライブイベント『マジ歌ライブ2023〜マジ歌オールスター歌謡祭〜』が、さいたまスーパーアリーナで行われた。
私の席は3階のサイド席。ここからだと自作の応援うちわをステージ上の舞ちゃんに見てもらうのは難しそうだな・・・。
18:56、ライブ開演直前。ライブの前説VTRとして舞ちゃんがスクリーン上に登場した。舞ちゃんが芸人の『カカロニ栗谷さん』とコントをし、ライブを観る上での注意事項を説明するのだ。残念ながら内容はさっぱり入ってこなかった。なぜなら、2人のイチャつきコントが面白すぎたから。
VTRは6分半にもおよぶ大作だった。舞ちゃんの面白さは栗谷さんに負けていなかった。いやむしろ勝っていたのではなかろうか。そして舞ちゃんの演技は素晴らしかった。彼女の女優っぷりには脱帽した。彼女のAVを全部しっかり見てみようかと思うくらい、役への入り込みが素晴らしかった。
私の周りの観客も楽しそうに、そして食い入るようにVTRを見ていた。
「あの子、むっちゃ可愛いな」
舞ちゃんのことを「可愛い」と絶賛する声がちらほら聞こえてくる。おそらくあの時『つばさ舞』を検索した人は大勢いただろう。
ライブが始まった。『バナナマンの日村さん』、『東京03の角田さん』、『ハライチこ澤部さん岩井さん』、『ロバートの秋山さん』、『森三中の黒沢さん』・・・。そうそうたる芸人たちが歌やコントを披露していく。その内容はお下劣で辛口で面白いものばかり。私は初っ端から笑い転げていた。
特に面白かったのはロバートの秋山さん率いる『L.A.COBRA』。彼らが歌うのは"うん○"をテーマにしたメドレーだった。このライブで1番客席からの笑い声が多かったのは『L.A.COBRA』の"うん○メドレー"だったのではないだろうか。
やはりみんな分かりやすい笑いが好きなのだ。"うん○"という言葉は、汚いけれど害がなく、不思議な力を持っている。内容はなくても、繰り返し言われると何だか面白く聞こえてくる。そして一度ツボに入ってしまえば「うん」と言われただけで、笑いが止まらなくなる。そんなとてつもない破壊力だ。
だがしかし大人になった今でも、"うん○"にこれだけ笑えてしまうのは少し情けない気もした。"う○こ"最高。
ロバート秋山さんの"うん○メドレー"に涙が出るほど笑った後、ついにリアル舞ちゃんが登場した。真っ赤なトップスに黒のスキニージーンズ。遠くからでも、舞ちゃんのスタイルは群を抜いて美しいことがよくわかった。
『バカリズムさん』が歌う後ろで舞ちゃんが舞う。バカリズムさんの歌声も素晴らしかったが、意識と視線はすべて舞ちゃんに注がれた。私の席からだと舞ちゃんは米粒ほどにしか見えないけれど、なんかむっちゃセクシーで可愛い!カメラさん、もっと舞ちゃんを映してくれ!きっとみんなも舞ちゃんのおっきなおっぱいとセクシーな笑顔を見たいと思ってるで!
自作のうちわで舞ちゃんを応援している私の隣には、AVメーカー『S1』のトッププロデューサーが座っていた。S1は舞ちゃんが所属するメーカーである。どんな表情で彼女のことを観ているのかと覗き見たが、むちゃくちゃ楽しそうに笑っていた。
「あそこ舞ちゃんだよ!」「今こっちに気付いた気がする!」と私と一緒になって舞ちゃんを追っかけてくれていた。そして、ライブ中は終始声をあげて笑っていた。S1プロデューサーさん、きっといい人なんだろうな。
舞ちゃんが舞い、バカリズムさんが歌う。そして『スチャダラパーのBoseさん』が登場した。
”え!?そんな人まで出てくるの!?今夜はブギーバックの人だよね?ポンキッキーズのオープニングの人だよね!?”
私は驚いた。そして感激した。生のラップを初めて聞いたが、Boseさんはとてもかっこよかった。ミュージシャンは芸人さんとは違った迫力があった。
トロッコで会場を巡るバカリズムさん、センターステージで歌うBoseさん、そしてメインステージで踊る舞ちゃん。もうどこを観ていいのかわからなかった。トロッコも気になるけど、Boseさんはかっこいいし、舞ちゃんのダンスは可愛い。あたふたしているうちに舞ちゃんの出番は終わり、退場してしまった。
”ああ、もっと踊っててほしかった。舞ちゃんの生声が聞きたかった。ちょっと出番短すぎない!?もう1回出てこないかなー”。
そう思いながらも、私はその後のライブをしっかり楽しんだ。
『フットボールアワーの後藤さん』はピカピカ光るギターをぐるぐる回してイキリまくっていた。歌の内容は意味不明だが、非常に非常にかっこよかった。
『バナナマンの日村さん』はヒョウ柄のレオタードを着てキレキレのダンスを踊っていた。顔も体型も天才的に面白いのに、その上踊れるデブだなんて、天は彼に二物も三物も与えたようだった。
ゲストに「うんちょこちょこちょこぴー」で有名な『GO!皆川さん』が登場したり(私はこの人が大好きなので感激した)、”凛として時雨”の『ピエール中野さん』がドラムを叩いたり(日本一のドラマーと言われるだけあって、すごい迫力だった)。ライブはまるで盆と正月が一緒に来たような大大大祭りだった。
細部まで凝った演出や豪華ゲストの出演など、エンタメ性にとても富んでいて、漫才ライブとミュージカルを一緒に観てるような、とても贅沢なライブだった。
最後は『劇団ひとりさん』演じるカッパが登場し、”尻子玉”という何ともお下劣などんちゃん騒ぎをして終わり。と思いきや、アンコールで出演者のみんなが出てきた。もちろん舞ちゃんも出てくるはず・・・。が、なかなか出てこない。S1プロデューサーさんも前のめりになって探している。
「あ!出てきたよ!!」
私が見つけるより先にプロデューサーさんが舞ちゃんを指差していた。私はそれが何だか嬉しかった。そりゃ自分のところの専属女優が活躍してたら嬉しいよね。楽しいものを全力で楽しめる人がトップを務めるS1。AVのトップメーカーであるのも納得できる。
舞ちゃんはオーディションに合格し、地上波放送のゴッドタン『イチャまんグランプリ』に出演した。そこでの評価がとても高かったため、マジ歌ライブの出演者に選ばれ、前説VTRにも選ばれた。この日AV女優は他にも2名出演していたが、私には舞ちゃんが一番活躍しており、目立っているように見えた。彼女がこのライブに立つことができ、誰よりも輝いていたのは、全て彼女の努力の結果なのだ。
舞ちゃんは本当に”華がある”。身内の贔屓目かもしれないが、彼女は観る人の目を惹きつける力がある。これは彼女の持って生まれた素質であり、彼女がこのライブと全力で向き合っていたから、そして心から楽しんでいたからだと思う。
私が以前さいたまスーパーアリーナで観たライブは、約3年前の『Queen』のライブだった。あの伝説級のバンドが立ったステージに舞ちゃんが立っている。観客1万7000人を前にして堂々と自分を魅せている。
”すごいなぁ”と感激する反面、羨ましくも思った。私も1度でいいから、こんな大きなステージに立ってみたい。
それにしても舞ちゃん、貴女はすごいなぁ!
「かんなちゃん、観にきてくれてほんまありがとう。うちわまで作ってくれて、ほんまに嬉しかった。ありがとう!」
ライブが終わって、私は舞ちゃんと会うことができた。さっきまであんな大きなステージに立っていた舞ちゃんと普段通り話しているのは、不思議な感じがした。ステージに立っている舞ちゃんはとても遠い存在のように思えたから。
”ありがとう”と言いたいのは私の方。ライブに行くまで、応援うちわを作ったり、動画配信サイトでゴッドタンを観たり、とてもワクワクする時間を過ごせた。ライブでは腹を抱えるほど笑わせてもらって、舞ちゃんの頑張る姿に活力をもらえた。
舞ちゃんありがとう!ほんまに最高やったで!いつかは武道館やね!!
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最後にサインもらった。さいたまスーパーアリーナで舞った『つばさ舞』のサインを。