第41話 エイトウーマン写真展2022⑥〜葵つかさ、吉高寧々、鷲尾めい、五十嵐なつの超豪華な日曜日〜
11月13日(日) 6日目
この日の在廊女優は豪華だった。
五十嵐なつのエキゾチックな美人顔にドキドキする
私が初めて『五十嵐なつさん』を見たのは、週刊ポストの『なをん』だ。その時のことはよく覚えている。”なんて綺麗な顔をした子なんだろう”とドキドキした。今どきの流行りの女の子という感じではない、エキゾチックな雰囲気に心惹かれた。
そんな彼女の性格はカラッとしていて気持ちがいい。
「SNSにあげられたくない写真があれば遠慮なく教えてね」
私がと聞くと、彼女はこう言った。
「どんな写真でも大丈夫!AVでもっと恥ずかしいところも見られてるから!」
私は「ほんまやな!」と言って大笑いした。
鷲尾めいの神乳は本物
『鷲尾めいさん』がやってきた時、控え室の差し入れが3倍に増えていた。
「むっちゃ増えてませんか!?」
私が社長に聞くと。社長はマドレーヌらしきものをもぐもぐしながらこう言った。
「これ、めいちゃんが持ってきてくれてん。食べてや」
甘いものやしょっぱいもの、お酒や商品券まで、めいちゃんの差し入れの量には目を見張った。”これだけの物を買うのも持ってくるのも大変だっただろうな”と少し心配になるくらいだった。
初対面のめいちゃんは私に若干緊張している様子だったが、その緊張が解けるのは早く、最終的には受付で座っている私にハグをしてくれた。
めいちゃんのおっぱい、ヨギボーみたいやったで。
葵つかさと愉快なコアなファンたち
『葵つかささん』は前日に続き3回目の在廊である。つかささんにはたくさんのファンがいることは言うまでもないが、その中でもコアなファンが数名いた。その人たちはつかささんの在廊日には欠かさず来場しているので、私とも仲良くなっていた。
「これ、つーちゃん(つかささん)のデビュー当初の写真だよ」
コアなファンの1人がそう言って、私にチェキ写真をファイリングしたアルバムを見せてくれた。まだ幼さの残るつかささんの写真がたくさんあった。
”これ売ったら高値がつくんやろなー”と思ったが、もちろん口には出せない。ファンの想いは真剣そのもので、分厚い歴史を作ってきたつかささんの存在にも胸を打たれた。
コアなファンたちの面白いところが、ファン同士でコミュニティーを作っているところだ。年齢も職業も住む場所も全然違うのに、『葵つかさ』を中心に広がる人の輪がある。
「〇〇さん、今日仕事長引いて来れないってさ」
「えー!でもつーちゃんの写真を買うためには働かないといけないもんね」
つーちゃんへの愛を全面に表現する彼ら彼女らはとてもキラキラして見えた。
酒気帯び西田幸樹は女性漫画家に絡む
私が休憩に控え室へ入ると、西田さんが眉間にシワを寄せて寝ていた。その場に居合わせた社長に目をやると「(西田さん、疲れてるんやな・・・)」と、頷いていた。
写真展を語るにあたって<西田さんと酒>の話はしなければならない。西田さんは写真展の4日目以降「これはお祭りだしね」と言って、昼間から酒を飲んでいた。
ある日、女性漫画家の『岡藤真依さん』が来場した。彼女はちょっとエッチな漫画を描く漫画家だ。
酒気帯びの西田さんは彼女の漫画を手に取り、声に出して読みはじめた。しかもエッチなシーンばかりを選んで。岡藤さんは「やめてくださいよ!」と焦っていたが、満更でもない様子だったらしい。
この日私は撮影の仕事に行っていたため、こんなにも面白い場面を実際に見ることはできなかった。全ては社長から聞いた話である。
西田さんはその話をされて、
「え!?僕そんなことしたの!?覚えてないなー。ちょっと話盛ってない??」
と言っていた。西田さんが楽しそうでよかった。
自分に自信を持てるのは両親のおかげ
夜の<今日を振り返る会>にはゲストはなく、社長と山中さん私の3人だった。
「エイトマンの女優はほとんどがAV女優のトップである専属女優やけど、自分に自信のない子が多いねん。自分に自信があるかないかは、親からの愛情に大きく作用される。親って子どもからしたら”神”やで。その神から存在を否定されたら・・・。
俺はたまたま母親から『こんな家に生まれてきてありがとう』って言われ続けてきたから、色んなことに躊躇せずチャレンジできてるんやと思う。だって心のどこかで『失敗してもお母さん(神様)ついてるもん!』って思ってるから。母親はもう死んだけどな。
山中もそうやねん。父親がすごく厳しかったけど、その裏に大きな愛情があった。藤かんなもそうやん。親は全力で守ってくれたやろ。風邪ひいたらお父さんは怒ってきたんやろ?俺はお父さんが怒った気持ちが分かる。
子どもの苦んでるのって、親からしたら地獄やねん。自分が苦しい方が百倍マシ。目の前に苦しんでる我が子がおるのに、自分は何もできない。もう怒るしかないよ。自分に腹が立つねん。
お父さんの怒りは愛以外のナニモノでもないよね。親の愛があれば子は根っこが太くなるというか、自分の存在を心細く思うことってないと思うねん」
今の私があるのは、自分の力ではない。全て両親のおかげなのだ。愛情を与えてくれる親の元に生まれた私は、それだけで幸運の持ち主なのだろう。
11月14日(月) 7日目
美乃すずめ『弟』がエイトマン社長に背中を押される
この日の夜の<今日を振り返る会>は一番心に残っている。すずめさんと彼女の弟さん(以下『弟』)が来てくれたのだ。弟は私たちに自分の話をしてくれた。
彼は青春期に辛い経験し、荒れる時期もあり、絶望を感じてきた。彼の話は聞いているこちらが重苦しい気持ちになる内容だったが、彼はをまるで他人事のように淡々と話した。
「僕は2番なんです。1番にはなれない。でもそれでいいと思ってるんです。2番だからできることがある。僕は2番で頑張っていけたらいいと思うようになりました」
まだ20代前半の彼が、そんな達観したことを言うのは少し寂しい気がした。私が20代前半の頃はもっと馬鹿で、”世の中で自分が一番!私は最強!”と思っていた。まあ、そんな高い鼻はすぐにへし折られてしまったのだが。
でもそうやって厚顔無恥なスター状態でいられるのは、馬鹿な20代の特権だと思っている。なので弟がすでに達観していることに感心した反面、もっと馬鹿を楽しんでもいいのではと思った。
「2番でいいってもったいないよ!まだ1番目指していいって」
私は言った。すると社長がこう言った。
「2番で突き進んで、そこで1番取ればいいねん。君(弟)の考え方も、性格もそのままでいい。その2番の世界で突き進んで1番取れる。自分を冷静に見れるやつは強いから。あかんくなるまで突き進めばいい。もしあかんくなっても、懸命に頑張ってたら、その時に手を差し伸べる人は絶対いる」
”2番の世界で1番を取る”。言葉の綾のような気もするが、納得できなくもない。人には得意不得意があって、自分の得意分野を突き詰めていくのが一番いい。弟は自分の得意分野をすでに見つけていたのだろう。彼の方が私よりずっと上手(うわて)だった。弟に「1番目指したらいいって」と言った自分がダサく感じられた。
次回、藤かんなは新星エイトウーマンに出会う!?