第93話 吉高寧々 独占インタビュー①〜『#寧々密会』はAV女優としての【終活】〜
吉高寧々さんと写真家の笠井爾示さんが、2人きりで約2年4ヶ月間撮影し続けた作品が、写真集『#寧々密会』(徳間書店)として、2024年4月26日に発売される。そして5月11日から5月19日の9日間、東京・恵比寿にて写真展が開催される。吉高寧々さんに『#寧々密会』への想いや、これまでの過去を語ってもらった。
『#寧々密会』の始まったきっかけ
寧々:笠井さんを知ったのは、葵つかささんが載ってた『東京の恋人』っていう写真集。そこで初めて笠井さんの写真を見て、「うわあ、写真が生きてる」って思った。写真から、感情とか背景が伝わってきてびっくりした。私も笠井さんに撮ってもらいたいと思って、エイトマン社長に相談してみたら、笠井さんと会わせてくれることになって、『#寧々密会』の撮影が始まった。
その話を聞いて、約2年前、私がAV女優になったばかりの頃を思い出した。寧々さんがエックスに投稿している『#寧々密会』の写真を見た時、写真の美しさと色っぽさに感動して、即座に「いいね」を押したのを覚えている。そして何よりも『#寧々密会』というネーミングがすごく良いなと感じた。
寧々:寧々密会って良いよね。私もすごく良いなと思ってる。この名前は笠井さんと社長と私の3人で考えた。社長が「高田純次さん番組の『じゅん散歩』が好きやから、寧々散歩、どう(笑)」って言って、寧々散歩になりかけてん。
笠井さんの写真は、被写体に一歩踏み込んだ部分を撮ってて、目に見えてるものだけでない、内面の深い部分も写し出してると思う。だからタイトルでも、もっと私に踏み込んだ感じを表現したかった。私も表面的な吉高寧々だけじゃないものも見せたいと思ってた。そしたら笠井さんが「じゃあ『寧々密会』はどう?」って提案してくれてん。でも社長は今もたまに、寧々密会のことを、寧々散歩って言うんやで(笑)。
このインタビューの場に同席していた社長は、寧々さんがそう言うのを聞いて、ふふふと笑っていた。
寧々:2年4ヶ月の撮影は、最終的に写真集になったら嬉しいよねくらいの、ふんわりした空気感で始まった。撮影が始まった時は本当に何も決めてなくて、将来、写真集とかの形にならない可能性もあった。でもだから今、こうして写真集と写真展って形になって、すごく嬉しい。紙の写真集になるのはやっぱり特別だから、すごく嬉しい。
寧々さんは懐かしむように笑っていた。2年4ヶ月というのは、私がAV女優になってから今に至るまでの年月より長い。きっと語り尽くせないほどの思い出が詰まっているのだろう。
寧々:2年4ヶ月間で、印象に残ってる思い出って、実はないの。普通のグラビア撮影だったら、前もって撮影の日を決めて、その日に向けて体型も整えてって大掛かりやん。でも、笠井さんとの撮影は全く大掛かりじゃなかった。
エイトウーマンの撮影は、準備の心構えも撮影も壮大だったけど、『#寧々密会』の撮影は全く逆。本当に私の日常を撮ってもらった感じ。日常の中に笠井さんが入ってきてくれて、写真を撮るのが習慣になってた。だから緊張もなく、2年4ヶ月撮り続けられた。2年4ヶ月の間に、体型がポチャってしてる時もあるし、上手く笑えなかった時もあった。でもそれが『#寧々密会』の面白みにつながってると思う。
写真集には、外見の変化だけでなく、気分が浮いたり沈んだり、たくさんの表情をした寧々さんが詰まっているのだろう。日常だったから印象的な思い出は浮かんでこないと言っていたが、きっと写真集を見ると、日記を読み返すようにたくさんの思い出が浮かんでくるのだと思う。
寧々密会は【終活】のひとつ
寧々:私は今、AV女優としての【終活】に入ってる気がしてる。2ヶ月前に渋谷で開催された『ファレノフェス』に出て、それを思うようになったかな。
彼女に口から【終活】という言葉が出てきて、驚いたのは言うまでもないだろう。ファレノフェスとは、AVメーカー『ファレノ』の設立5周年記念イベントのこと。専属女優20名が出演し、トークショーやファッションショーを行った。
寧々:フェスで他の専属女優さんと並んだ時に、周りのみんながめちゃめちゃフレッシュに感じてん。私はデビューして今年で7年目。フェスに出てた女優さんの中で、2番目に歴が長かってん。あの時、私はここに居続けて良いのかな、って思った。AV女優でずっとあり続けたいと思ってたし、そうあることはめっちゃ素敵なこと。でももしかしたら、それは違うのかもしれないって思えてきた。なんかね、何事にも終わりはあるんだなって、感じた。
何事にも終わりがある——。そう語る寧々さんの笑顔は、どことなく切なくて、でも堂々としていて、私の心をキュンとさせた。
寧々:私、好きになれない言葉があるねん。「推しは推せる時に推せ」って言葉。エックスでそれをポストする人をよく見る。その言葉って「私はいつかいなくなるから、応援してね」って媚びてる感じがして好きになれない。何事にも終わりがあるから、言葉自体は間違ってないけど、そういう流行りの言葉に乗っかってるのが好きじゃない。
私は「応援して」って伝えたいなら、もっと自分の言葉で伝えたい。だから【終活】の言葉を選んだ。「推しは推せる時に推せ」って言葉が好きじゃないなんて言ってる私が、一番壮絶な言葉を使ってるよね(笑)。今回の『#寧々密会』は、【終活】の1つだと思ってる。だからこの写真を表紙に選んだ。
彼女はそう言って、『#寧々密会』写真展のリーフレットを手にした。そして「この写真、遺影っぽいやんね」と、笑っていた。
寧々:表紙にするなら、もっと可愛い写真もあったと思う。でもこの写真が【終活】を表現するのにふさわしいなと思った。何事にも終わりがあることを覚悟した写真を表紙にしたかった。
その写真は笠井さんと撮影を始めて間もない頃のものであり、髪を切った直後の写真らしい。寧々さんが髪を切った時のエックスの投稿は、今も覚えている。確か私がAVデビューし始めたくらいの時だった。当時はまだ寧々さんのことを、同じ事務所の先輩としか認識していなかったし、もちろん会ったこともなかった。しかし彼女が髪を切った投稿を見て、何か心境に変化があったのかなと、お節介ながらにとても気になっていた。
寧々:髪切ったあの時は、体調崩しがちやった。体調崩すのが怖いから、ご飯もむっちゃ食べてた。でも女優としてこのままじゃダメだと思って、覚悟決めて切った。
この話は『寧々密会インタビュー②』の記事で詳しく書こう。
【密会タイム】では、今しかない私を撮ってほしい
5月11日から19日まで行われる『#寧々密会』写真展では、寧々さんは毎日、在廊する。写真集に掲載されていない未公開写真を中心に、約100点近い作品が展示される。写真を購入した人への特典【密会タイム】は、会場内だけでなく、付近公園で笠井爾示さんになりきって、吉高寧々さんを撮影できる特別企画なのだ。写真展に毎日在廊することや、特典の内容は、寧々さん自ら提案したらしい。
寧々:『#寧々密会』はありのままの私を撮ってもらった。写真展に来てくれたファンの人にも、素の私を見てほしい。だから【密会タイム】って特典を考えた。写真を撮ってもらう時、私がお菓子食べたいと思ったらお菓子を食べてると思うし、歌いたいと思ったら歌ってると思う。走りたくなったらイエーイって急に走り出すかもしれない。その時にしかいない私を体感してほしい。
笠井さんに撮ってもらってる時も、私がおはぎ屋さんを見つけて「おはぎ食べたい」って言って、そのまま、おはぎ食べてる写真を撮られたりした。本当に気分のままに動く私を撮ってもらった。ファンのみんなも笠井爾示さんになり切って撮ってくれたら嬉しい。それに私もみんなとのその時間がほしい。思い出としてね。
彼女は物事の有限に気付き、本当に【終活】を意識し始めているのだろう。だからこそ、今の1分1秒を大切に生きようとしている感じがした。寧々さんへのインタビューの後半では、彼女の過去についても語ってもらった。ぜひご一読いただきたい。(続く・・・・・・)
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