第40話 エイトウーマン写真展2022⑤〜美乃すずめの魅力に悩殺され、葵つかさの存在に感謝する〜
11月12日(土) 5日目
美乃すずめのハイヒールに踏みつけられたい気分
在廊女優2人目は『美乃すずめさん』。エイトマンのホームページで彼女の写真を見たとき、”なんて笑顔が素敵な人なんだ”と思ったのを覚えている。品と色気と、少しの気だるさがあって、一目で心を持っていかれた。
すずめさんは写真よりもっと魅力のある人だった。クールな印象だったが、気さくな関西弁で私に話しかけてくれた。
「かんなちゃん!ずっと会場いてくれてんの?大変やんなぁ!ありがとぉ」
"イエス、マイロード・・・"。私は心の中でひれ伏した。SMプレイに興味はないが、女性のハイヒールで頭をぐりぐり押さえつけられたい気持ちが、ほんの少しわかったような気がした。
彼女を見ていると、”この人はどんな人生を送ってきたのだろう”と考えさせられる。
感情をいくつか落としてきたような物悲しさを彼女から感じ取ったからだ。それが彼女の色気を生み出しているのは言うまでもないが、これまでにとても悲しい経験をしてきたのではないかと、勝手に心配してしまう。
彼女は今、何を考え何を思って生きているのだろう。すずめさんを見る人にそう思わせるのも、彼女の大きな魅力だろう。
葵つかさが地上波TVに出た意義
在廊女優3人目は『葵つかささん』。会場はすでに大入り満員。私はつかささんを追いかけて写真を撮るが、人に埋もれてすぐつかささんが見えなくなる。
「葵つかさって本当にいるんだね」
そう言っているファンがいた。そのくらい彼女はファンにとって高尚な存在なのだ。
つかささんが女性来場者とチェキを撮っていた。
”つかささんには女性ファンもいるのだな”。
そう思って見ていると、社長が私にこう言った。
「あの人『小山テリハさん』。テレビ朝日のデイレクター。こないだ『イワクラと吉住の番組』に葵つかさが出たやろ。葵つかさの出演を推してくれたのはテリハさんやねん。AV女優が地上波に出るってすごいよね。
でも彼女はじめ、『地上波なんて出たくない。出たら何て叩かれるか分からん』って言っててん。でも番組終わった後、『葵つかさであることを肯定できた気がする。またひとつ、一緒に作り上げることができたね』って言ってた」
私もその番組を観た。私はいち視聴者として”葵つかさでいてくれてありがとう”と思った。この感謝の気持ちを写真展開催中に、つかささんに伝えられればいいな。
カメラマン塩原洋と張り合う藤かんな
夜の<今日を振り返る会>にはカメラマンの『塩原洋さん』が参加してくれた。洋さんは昨年のオフショット写真集『8woman エイトマン女優8人のいちばん長い日』を作ったカメラマンだ。今年もほぼ毎日会場に足を運んで、写真を撮ってくれていた。
「僕が写真を撮ろうとする場所に。いつも藤さんがいるんですよ。写真のセンスがありますよね」
洋さんは言った。ありがとうございます!
「自分が選ばれてない写真展で、選ばれてる女優の写真を必死に撮る女優がいる?他の女優はそんなこと、なかなかできないと思うねん」
社長が言った。ありがとうございます!藤かんなだからできることしました!
「僕もね、かんなちゃんのことは完全にスタッフとして扱ってしまっているんです。今日だって『チェキの写真の替え持ってきて』とか『そこどいて』とか平気で言ってましたもんね。申し訳ないなとは思いつつも、むっちゃ役に立ってもらってます」
山中さんが言った。ありがとうございます!エイトマンの仲間に入れてもらえたようでとても嬉しい所存です!!
この日はやたら褒められて、こそばゆい心地でいた。私はこの写真展で<目立っている人物ランキング>のナンバー5以内には入るかもしれない。私のことを知らなかったファンが私を知ってくれ、 人の波に溺れながら写真を撮っている様子を洋さんが撮ってくれている。カレンダーを売っているということもTwitterで見てくれてている人がたくさんいる。
「スタッフすることで、最終的には藤かんなが得をするから」
社長は写真展が始まる前にこう言った。この言葉の意味を少しずつ感じ始めていた。
11月13日(日) 6日目
日本の巨匠『西田幸樹』はお茶目なおじさん
会場に着くと、西田さんが何やら楽しそうにしていた。
「ここに来るまでにさ、綺麗な葉っぱが落ちてたんだよ」
社長は「西田さんは日本の巨匠で、みんな西田さんに撮ってほしいと思うねん。ほんまにすごいカメラマンやねん」と常々言っている。西田さんの写真は本当に心に残るものばかりで、”日本の巨匠”といわれるのも納得できる。
しかし西田さんはお茶目で優しい仏のようなおじさんだ。”能ある鷹は爪を隠す”
ではなく、”能ある鷹に爪は不要”なのかもしれない。
藤かんなはファンからの手紙に固まる
「藤かんなさんの作品観てます。応援しています」
ある男性が小さな声でそう言い、やや震えながら手紙を渡してくれた。勇気を出して話しかけてくれた様子に感動し、私はもらった手紙を控え室で早速読んだ。彼からの手紙の内容は強烈だった。
<かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい、かんなとヤりたい・・・>
そんな内容がつらつらと3ページ。返信用ハガキも同封されている。私は硬直した。その男性が私に手紙を渡した時、私は彼の脳内で完全に犯されていたのだろう。
「どうしたん?」
硬直している私を見て、社長が声をかけた。私はその手紙を渡した。
「これを書いた人の気持ちは今、俺も一緒に受け止めた。だからこの手紙は責任を持って処分しておく」
私は苦笑いするだけで何も言葉が出なかった。
次回、『吉高寧々さん』『鷲尾めいさん』『五十嵐なつさん』『葵つかささん』豪華登場!