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100倍、身につく国語力(200) 教材篇

❤小~高校生と、母親向けのレッスン
 (1年間で国語力の悩みが解決できる!)
 
  杉みき子の作品について①

 今回からは、「子ども作文教室」の主
なテキストであるみき子の『小さな町の
風景』について考えてみることにします。
ちなみにここでは、今年の春、当教室の
母体である「子ども国語教育学会」の
『研究論集』(2024.03.09)に発表した
内容を中心にご紹介したい
と思います。

 杉みき子はこれまでかなりの童話を
発表し、多くの人々から高く評価され
ています。確かに杉氏の作品には、他
の童話作家にみられない独特の世界観
に包まれており、国語の教科書にいく
つも採択されているくらいです。
 
 杉氏の童話は、本来子ども向けなの
であろうが、大人であっても読むたび
に物語の展開や奥深さに感銘を受ける
ことが多いのです。ここでは、彼女の
多くの作品の中から、特に『小さな町
の風景』を採り上げ、その内容の分析
を試みるつもりです。その際に、彼女
の西川図書館5周年記念の講演会(2010
年)での講演内容(注1)を大いに参考
にするつもりです。なぜなら、講演で
は彼女の人生に対する考え方や生き様
が率直に語られており、傾聴に値する
と考えたからです。

 (注1)
  杉きみ子さんの講演会では、
  『わたしとふるさとと文学に
  ついて』(2010、12.11)、
  新潟市立西川図書館5周年記念

ネットのイラストより転載

 『小さな町の風景』の文章は、「坂、
商店、塔、木、電柱、鳥、橋、海」と
いう8項目の内容にまとめられ、計45
の短編が収められています
。各文章は
そのときどきに書かれたものであろうが、
彼女の生活環境の基盤となっている
「家族、出来事、風景、自然環境」や
人々の歴史・文化などをテーマとして扱
い、彼女が日頃周囲に対してどのように
「思い、感じ取り、受け入れてきたか」
という考え方や感じ方が見事に反映され
ているように思われます。

 ちなみに、杉氏は『小さな雪の町の
物語』(1972年)という類似のタイトル
の作品を発表している
が、これは『小さ
な町の風景』(1982年)が誕生する原型
になったように思われます。前者は大人
向けの絵本であり、後者は子ども向けの
短編集だという違いはあるが、双方の
作品を比べてみても因果関係はなさそう
です。

 しかし、どちらも文章の構成や内容を
分析してみると、結果的に前者は後者の
成立事情にかなり影響を及ぼしていると
思われるので、そういう点を参考にし
ながら考察を進めていくことにします。

 ❤杉氏は児童文学者として有名で、
  中学の教科書にも採用されて
  いるくらいです。ですから、
  彼女がどのように考えて作品
  を書いていたかを知ることは、
  きっと参考になると思います。

 アナミズ(2024.08.30)


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