100倍、身につく国語力 (13)

『コボちゃん』で短編の創作練習 ①


<コボちゃんの創作文について>
 これまで、『コボちゃん』を教材に
して、200字作文の書き方を練習して
きましたが、これはあくまで四コマ・
マンガの映像情報を、どう文字情報
として表現するかに力点がおかれて
いました

 
 しかし、これをあくまで原画をもとに
した作文を考えるわけで、そこには子ど
もの独創性が十分に育つとはいえません。
そこで、「コボチちゃん創作文」では、
マンガを素材としながらも、それをさら
に発展させて自由に創作文が原稿用紙
(400字)で5枚以上のストーリーに書
ける契機として、「コボちゃん創作文」
と題して、私なりのショート・ストーリ
を考えてみた
わけです。
 
このように「コボちゃん創作練習」では、
マンガから始まって独自の創作文に至る
までのつなぎの練習で、自然な形で移行
できるという点に配慮してあります。
従って、ここでの創作文を熟読すれば、
みなさんはきっと自分のストーリーを書
いてみようという気持ちになるのでは
ないでしょうか。
 
 そんなときには、あくまでみなさんが
自分の力で、創作文を試してみることを
ぜひお薦めしたいと思います。ちなみに、
『コボちゃん』からショート・ストーリ
ーを何本か創作してみましたので、ぜひ
参考にしてください。
 
(1) コボちゃんの家族紹介
 ① 課題四コマ
  

 ② 創作ストーリー              
「ボクの名前はコボっていうんだよ。
はじめて会った人は、コボって聞くと、
たいてい変な顔をするんだ。たぶん
ボクのことを女の子だと思っている
からかも知れない。でも、いつも女の
子と間違われるので、本当にいやに
なっちゃう。 」 

 ある日、家族のみんなにボクの名前
の意味を聞いてみたことがある。する
と、次のような返事が返って来た。 
 
 パパ:元気に育ってほしかったから 
 ママ:とっても可愛かったから

 とニコニコ笑っているだけなんだ。 
なんだかよくわからないので、今度は
おじいちゃんとおばあちゃんに聞いて
みることにした。すると、  

 おじいちゃん:丸々と太っていた
        から
 おばあちゃん:優しい顔をしてた
        から 

 と答えてくれた。これじゃ、ますます
分からなくなる。まったくなぞなぞみた
いだ。  

 そこで、ボクは家族の4人のことばの
ナゾを解くことにした。まずキーワード
は次のように、  

 「元気だ」「可愛い」「太っている」
 「優しい顔をしている」 

 となったのだけれど、これがボクの
名前の「コボ」に、どうしても結びついて
こない。  

 (いったいどうなっているんだろう。
  いくら考えてもわからない)      
     ******
 みなさんは、みんなの説明で「コボ」
 の意味がわかりますか?      
     ******

 仕方がないので、ボクの産みの親の
植田まさし先生に電話で聞いてみる
ことにした。すると、こんな返事が
返ってきた。  

 「実は、コボはボクの本名でね。   
 小さいころ、香川県の方言で   
 『こぼんさん』とよばれていた   
 わけ。それは「末っ子」という   
 意味なんだよ。
マンガの中で、   
 コボちゃんは長男だけど、末っ
 子のコボちゃんの呼び方にする
 と、おもしろいと思ったわけ」

 「なあんだ、そうだったのか。
  それは発想の逆転というやつ
  だね」  
 「おやおや、難しいことを知って
  いるね」  

 植田先生のおかげで、コボの名前が
どうしてついたのか、よく分かった。  
しかし、漢字で「小穂」の意味を聞く
のをうっかり忘れてしまった。

 そこで、物知りのおじいちゃんに聞く
ことにした。 おじいちゃんの説明に
よると、 

 「小穂」の「小」は、「小さい」
 とか、「可愛い」という意味に
 なる。そして「穂」は「稲の穂」
 で、「恵む」を意味している。
 だから、「小穂」は「小さくても
 実りをもらす」ということで、
 将来人の役に立つという意味に
 なる。

 ということだった。 コボちゃんはそれ
を聞いて、悪い気はしなかった。コボは
なんとなくわかったようで分からなかっ
たが、もうあきらめることにした。 

ネットより転写

 ところで、ボクの名前のついでに家族
の名前の紹介した方がいいと思った。
ボクのパパは田端耕二で、田畑家の2番
目の男の子だ。ママは田端早苗で山川家
の一人娘だ。結婚前は山川早苗だったけれ
ども、結婚後は田端早苗に変(か)わった。
 パパはママと結婚してママの両親と一緒
に住むことになった。そして、5年前に
ボクが生まれたというわけだ。 ボクの
おじいちゃんは、山川岩夫といって、昔、
学校の先生だったそうだ。そのためとき
どき腰に手を当ててお説教をする。おばあ
ちゃんは山川ミネだけど、昔は岩田ミネ
だったそうだ。

  こんな5人だけど、ある日パパはママに、 
「春のスーツを買ってやろうか」と言うと、
ママは、「あらホント!?」と喜んでいた。
 また、別の部屋では、おじいちゃんがおば
あちゃんに、「今度の休みに温泉でも行く
か」と誘うと、「ホント!?」と喜んでい
た。 コボちゃんはここで祖父母を、「両親
です。」と紹介する。 最後に、コボちゃん
は、両親と祖父母を紹介したあと、 「それ
から、ボクは田端小穂、この家の一人っ子
です」とすまし顔で自己紹介をした。
 
 ちょうどそのとき、ママとおばあちゃん
は、パパとおじいちゃんに向かって、「悪質
なウソはやめてください」と怒っている。
なんとママとおばあちゃんは頭から湯気を
立て怒っているのだ。      
     ******
 さてさて、なんで二人がこんなに怒って
 いるのか、みなさんはわかりますか。      

     ****** 
 実は、二人はこの日がエプリルフールだっ
たので、うっかりだまされていたのを知った
からだった。そのとき、かんじんのコボちゃ
んは、エプリルフールの日は、ウソをついて
もいい日だということをよく知らなかった。                
                おわり 

❤どうでしょうか。四コマ・マンガから、  
 このようなショート・ストーリーが  で
 きるので、お子さんにも薦めてみては
 いかがでしょうか。 

アナミズ (2024.02.24)

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