
100倍、身につく国語力(116)話しコトバ篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
話しコトバ特有の言い方
(2024.1/31~2/11連載)のつづき
10. 日本語の 「体言止め」に注意
する ⑩
●大学生の「話しコトバ」の用例
1. 文系大学生の「話しコトバ」の用例
会話の中で、その言葉は「話しコトバ」
であると、よく耳にすることがあります
が、それでは、一体どういう言葉が「話
しコトバ」であり、どういう使われ方を
しているのでしょうか。
ここからは、いわゆる学校文法の品詞
別項目に沿って、学生の作文の具体的な
例を上げながら考えていきましょう。
(1) 【名詞 ①】…体言止めの影響
日本語の特徴の一つとして、「名詞」
(体言ど止め) の使い方があり、名詞か
体言止めで文章を終えることが多いのに、
日本人はその自覚があまりないようです。
今、某新聞(2021.12.12)の一面の見出
しを読むと、その理由はいろいろ考え
られますが、このことがよく分かります。
(記事の見出例)
① 経済安保「司令塔」新設
② 内閣府に半導体確保を主導
③ 脱税容疑 業者側から現金
供述
④ 中部空港 新設滑走路2本
⑤ 発着1,6倍 コロナ後の需要
備え
これを見ると、文末は読み手の理解
に、完全に委ねられているのではない
でしょうか。なぜなら、文末には次の
ような言葉が省略されているのにも
かかわらず、読み手が下線部の言葉を
頭脳で追加しながら、文章全体を理解
していると考えられます。
【追補】
① 「司令塔」新設
→「司令塔」を新設の予定
である
② 確保を主導
→確保の主導を検討する
③ 業者側から現金 供述
→現金受領の供述を始める
④ 新設滑走路2本
→滑走路の2本を増設する
⑤ コロナ後の需要備え
→需要に備える計画である
もちろん、外国語でも新聞の見出しは、
同じように簡略化の傾向はありますが、
日本語の方が多いような気がしてなりま
せん。この傾向はマスコミ全体に及び、
テレビドラマのセリフにも頻繁に見られ
る現象だからです。
例えば、文末を体言止めや曖昧な表現
ではどうなるかという点で、次のような
文末は、どう理解すればいのでしょうか。
【文末例】
① そんはことを言う君は、……・
② 体重が減って、スッキリ体型、……。
③ さすがは課長、……。
これなどは、受け取り手の理解の仕方
次第なので、意味が全く別の解釈も成立
します。このような例は学生の作文にも
頻繁に見られるので、弊害が大きいと
指摘せざるを得ません。

(2)【名詞 ①】…「当たり前」と「当然」
の違いは?
「話しコトバ」では「当たり前」という
言葉が頻繁に使われますが、最近は論文や
レポートの中でも、それをよく目にする
ので驚かされます。「書きコトバ」では、
「当然」と書くべきで、これはいつから
「書きコトバ」として市民権を得たので
しょうか。
ところが、学生だけでなく、普通の日本人
も、この「当たり前」が何の疑問もなく使用
されているです。これは、「話しコトバ」の
代表的な単語の一つだということは、論を待
つこともなく明らかです。それで、学生には
可能な限り、早い段階で直すように指摘して
いました。
ちなみに、今、林巨樹監修の『現代 国語
例解辞典』によれば、
① 道理から考えて、そうあるべきこと。
当然。
② 普通のこと。ありふれれていること。
となっているので、だれから見ても反論の
余地ないということなのでしょうか。
❤また、この「当たり前」は「当然」
の当て字「当前」の訓読みからきて
いるらしいので、どうやら自明のこと
のようです。要するに、明確には
わからないにしても、「話しコトバ」
として理解しておく方がいいと考え
られます。
アナミズ (2024.06.06)