100倍、身につく国語力(222) 作品篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
漱石の『夢十夜』について (3)
2.『夢十夜』のワークシート
生徒はこの話をいきなり200字の要約
文にするのが難しいので、作文教室で
作った独自のワークシートを使い、それ
に沿ってまず「はじめ→なか→おわり」
という展開の流れの中で考えること
から始めることにしました。
「ものがたり」文の要約ワークシート
●はじめ
A.(いつ、どこで、誰が、
どような状況か)
●なか
B.(どんな出来事が起きて、
状況変化は?)
●おわり
C.(主人公の気お持ちの
変化は?)
<O君の記入例>
A.(いつ、どこで、誰が、どの
ような状況か)
ある男が、今死のうとする
女の枕元に座っている。女
は男に百年待ってくれるよう
に頼んで死んでしまった。
B.(どんな出来事が起きて、状況
変化は?)
男は女の遺言に従い、がんこ
に女のお墓を守っていた。
ある日、お墓から真っ白な
百合の花が咲き、遠い空に
暁の星が出たのを見て、とう
とう百年が過ぎたことが実感
できた。
C.(主人公の気お持ちの変化は?)
男は女の言葉を信じて百年
待ったかいがあり、ホッと
している。
<主題>
男は今にも死にそうな女の遺言を
守って、墓のそばから離れず、百
年後の再会を約束する話である。
<内容(あらすじ)>
(島田雅彦著、『漱石を書く』より)
男が死に瀕した美女と百年後に
再会を約束する話である。約束
を交わすと女は死に、自分は
真珠貝で穴を掘り、女を埋めて
やる。
そして、盛った土の上に星の
破片を置いて墓石にし、女が
言った通り赤い日が出ては沈む
のを勘定しながら、ただ、ひた
すら女が現れるのを待つ。苔
むした墓石を眺め、女に騙され
たのでないかと思うと、石の
下から芳しい白百合が生えて狂
う。男は花弁にキッスをし、遠
い空をみたとき、「百年はもう
来ていたんだな」と悟る。
<キーワード・センテンス>
① 女が、静かな声でもう死に
ますと云う。
② 百年待っていてください。
③ 百年はもうきていたんだな。
④ 遺言の内容
【内容】
遺言書の内容は、「死んだら、
埋めて下さい。大きな真珠貝で
穴を掘って。そうして天から
落ちてくる星の破片を墓標に
置いて下さい。そうして墓の
傍に持っていて下さい。また
逢いに来ますから。
(中略)
日が出るでしょう。それから
日が沈むでしょう。それから
また出るでしょう、そうして
また沈むでしょう。―赤い日
が東から西へ、東から西へと
落ちて行くうちに、―あなた、
待っていられますか」という
ものであった。
<読解練習>
① 最後に星が出現したのはどう
いう意味があるのか。
(解答例)
最後の星の出現によって、
主人公は待つ時間が百年
たったと実感した。
② 星の出現と時間の経過の因果
関係について説明しなさい。
(解答例)
ただ幻想的な情景と繊細な
描写が心に残るだけで、星
の出現と時間の間にあまり
因果関係は感じられない。
❤このように具体的な設問を
解くことにより、『夢十夜』
の作品の内容を、より深く
理解することができます。
生徒は難しいけれど、おも
しろいと言って取り組んで
くれました。
アナミズ (2024.09.21)