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100倍、身につく国語力(111)話しコトバ篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
話しコトバ特有の言い方
(2024.1/31~2/11連載)のつづき
5. 体言止めは控えめに ⑤
文章の中で、必要以上に「体言止め」
をする学生がいますが、これは基本的に
はしない方がいいと思います。新聞や
雑誌、テレビのコマーシャルなどでは
読者や消費者の注目を得るため、イン
パクトを一手法として頻繁に登場しま
す。しかし、作文や論文にこの手法は
極力控えて、きちんと主述関係が成立
するような訓練をすることが大切です。
ちなみに、日本の有名な作品を見て
も、これが目につくときがあり、なん
とも言えませんが、基本的には極力使
わないようにした方がいいでしょう。
なぜなら、文末での連体形止め、ある
いは体言止めは余韻をもたせる日本語
独特の表現法で、読み手に判断をまか
せために、解釈がいろいろわかれてし
まうからです。次の例を見てみましょ
う。
<例文55>
高校3年生になると受験一色。
私は日本史が苦手。だから、
受験を意識し集中的に勉強し
ました。すると最初の模試で
いきなり上位。必死に頑張って
結果が見えてちょっと自信が
つきました。それからもっと
頑張って定期テストでトップ。
その時は嬉しくて嬉しくて、
頑張ってよかったと、思いま
した。
【訂正語句】
・受験一色。
→ 受験一色になりました
・苦手。→苦手だったので、
・上位→上位に入りました
・必死に頑張って
→懸命に努力して
・トップ→トップでした。
・ちょっと→少し
・もっと→さらに
・嬉しく嬉しくて
→嬉しくなって
・思いました
→思います
日本語はもちろん文末によって、
文章の意味が明確になるという特徴
があるので、ある意味では仕方が
ないかもしれません。
しかし、これだけ体言止め(名詞
止め) が多い文章も珍しいといえま
す。つまり「受験一色」、「苦手」、
「上位」、「トップ」などは、きち
んと述語文の形にした方が、いいの
ではないでしょうか。
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新聞の見出し語や記事の中で、この
ような文章がしばしば見受けられます
が、日本人の相手の判断に任せると
いう、曖昧な表現方法は避けるべきだ
と思われます。
(訂正文55)
高校3年生になると、学校
生活は受験一色に変わりまし
た。
私は日本史が苦手だったので、
受験を意識して集中的に勉強
しました。すると、最初の
模試でいきなり上位に入りま
した。懸命に努力した結果が
出て、少しは自信がつきまし
た。さらに定期テストでトッ
プだったので、努力が実って
嬉しくなりました。
これまでのように、苦手」、「上位」、
「トップ」などの名詞止めは、基本的な
問題が含まれるため、このような文章を
どのように直していいのか、頭を悩ます
内容となっています。とにかく、この
訂正文にしても、内容、表現ともにとて
も大学生のレベルでないかも知れません
が、何とか読めるような段階にはなった
ようです。
❤なぜこのような体言止めが多
いのか、あるとき、学生に尋
ねたことがありました。する
と、文章の終わり方が締まる
ような感覚になり、いわゆる
「かっこいい」のだそうです。
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「かっこいい」というのは大学
生らしくておもしろいですね。
みなさんは、はたしてどう思わ
れたでしょうか。
アナミズ (2024.06.01)