100倍、身につく国語力(228) 作品篇
100倍、身につく国語力(228) 作品篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
漱石の『夢十夜』について (9)
O君は「第十夜」が今でも鮮明な印象
として残っているというので、以下の
ような要約文を書いてもらいました。
<0君の要約文>
私は健さんから庄太郎が七日
ぶりに帰ってきたと聞いた。
町内一の好男子な庄太郎は水
菓子屋の店先へ腰をかけて、
女性の顔を眺めることが日課
となっていた。ある日、彼の
好みの顔の女性がその店へ来
て買い物をしていた。彼は
彼女の荷物をもって家まで送
ろうとしたが、草原の切壁に
つれてこられた。彼は飛び降
りるか豚になめられるかの
どちらがいいかを問われ、彼
は後者を選んだが力つきてし
まった。
O君の要約文は、本文の内容を要領
よくまとめているが、最後の部分で庄太
郎が次々に豚に襲われる状況のまとめが
不十分といえます。
<講師の要約文>
町内一の好男子の庄太郎は、
水菓子を買いに来た女に
ついて電車で移動し、原っ
ぱを通って絶壁の上に案内
され、そこから飛んでみる
ように言われた。それを断
ると何万もの豚に襲われる
と脅かされ、崖から無数の
豚の鼻をステッキで叩き落
とす羽目になった。庄太郎
は女の忠告に従わなかった
ため、幾万匹の豚に襲われ、
夢中で一匹ずつ豚の鼻の頭
をぶって崖の下に落そうと
した。ところが、彼はそれ
を七日間も頑張り続けたに
もかかわらず、ついに豚に
顔をペロリと舐められて、
精魂尽き果て倒れた一そし
て、一週間後に、ふらりと
町に帰ってきたのだった。
O君に対する講師の要約文は、かなり
分析的になっていますが、庄太郎の精神
状況がうまく説明されていないことに変
わりはありません。この「第十夜」は、
作品の最後の部分ですが、パナマ帽の男
が出てきたり、なぜか数え切れないほど
の豚が登場するのか、いまだに謎となっ
ています。このような設定はおもしろい
のですが、その意味を説明するのは、難
しいと思われます。
❤O君は、最近は小論文を書く
のが得意になったというのも、
うなずけるような気がします。
上の要約文をみれば、講師の
それとほとんど遜色はないの
で、小論文の実力がついたこ
との何よりのO君については、
とにかくO君の小学生のころ
を思い出すと、隔世の感がし
て指導のかいがあったと安堵
しています。
アナミズ (2024.09.27)
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