![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154225859/rectangle_large_type_2_280a168ad30356d565ee8bbb91747d70.png?width=1200)
100倍、身につく国語力(215) 作品篇
❤小~高校生と、母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
杉みき子の作品について (15)
ところで、杉氏の生活環境は「雪」
と深く関わっており、それを題材とし
た物語をたくさん書いています。事実、
『小さな町の風景』の表紙は、「雪」
にスッポリ覆われた町の風景の水彩画
となっています。杉氏の作品を見れば
いかにそれを慈しんでいるかがよく
わかる。今、『小さな雪の町の物語』
の「冬のおとずれ」の冒頭部分を見る
とそれがよくわかります。
おしゃれな少女が、自分にいち
ばんよく似合う衣装や身のこな
しを本能的に知っているように、
土地というものも、どこの土地
にせよ、それぞれ自分の身に
かざるにふさわしい衣装を持っ
ている。この町は、自分にもっ
ともふさわしい衣装として、冬
という季節をえらんだ。くもり
の日の似合う町である。
長いがんぎに寄りそわれた木造
の家なみは、この町に城のあった
数百年のむかしから、すこしの
変化もなく、低い空の下でまど
ろんでいるように見えた。
![](https://assets.st-note.com/img/1726265555-BjqJ5G0KA2ehYOywv3c6t1d8.jpg)
これは、まさに杉氏の「雪」に対する
想いが集約されているのではないでしょ
うか。「おしゃれな少女に似合う衣装」
と切り出し、「この町のもっともふさわ
しい冬」と対比させることで、「冬」を
最大限に賛美することにより、強烈な
インパクトを与えてくれます。
「この町」はもちろん高田市であり、
ふさわしい衣装として「冬の季節」を
選んだことになります。このような
文体は、それはたとえ雪国育ちの筆者
のような者であっても、まったく気が
つかなかった新鮮な発想で、筆者が
15才まで生まれ育った富山県黒部市と
いう町に、強く郷愁へと駆り立てる
ほどでした。
今、思い起こしてみると、「雪」には
マイナスのイメージがつきまとう傾向が
あります。事実、「みぞれ、あられ、
ふぶき、地ふぶき、猛ふぶき、風雪、
落雪、融雪、暴風雪、豪雪、大雪、豪雪、
雪崩、除雪、雪下ろし、雪かき、雪捨て
場」などは、雪国地方の気象や重労働と
関連する場合が多いのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1726265635-paPALJNEW4vcuyYnhTC1keI6.jpg)
その一方、「白雪、雪どけ、雪景色、
雪焼け、雪の肌」のように肯定的なイメ
ージもあります。さらに、子どもにとっ
ては「雪だるま、かまくら(雪室)」作
りや、「雪合戦、滑り台、ジャンプ台」
という遊びが、雪国で何よりの楽しみ
でした。ちなみに、驚くべきことには、
日本語には「雪女、雪男、雪ん子」の
ように擬人化されて使う言葉遣いがあり、
雪」と人間が同じ仲間のように考えられ
ていることです。
❤上に見られるように、雪国
育ちの人でなければ、なか
なかイメージできない言葉
があります。ただ、「雪女、
雪男」などは「雨女、雨男」
というようにイメージを重
ねて考えると、分かりやす
いかも知れませんね。
アナミズ (2024.09.14)