
1991年7月30日(火)
【戦士鍛錬場:町田 康祐・谷口 竜一・山村 三平太】
「だいぶ良い勝負ができるようにはなったかな」
「いや、かなり上達していると思うよ」
息を切らして、タオルで頬の汗を拭いながら発した山村 三平太の言葉に、町田 康祐が感心した表情を浮かべて答えた。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日も多くの戦士が鍛錬を行っている。本日朝から一緒に鍛錬を行っていた山村と谷口 竜一であるが、10時ごろに町田がやってきたので、腕試しの気持ちで一緒に模擬戦を行ったのである。谷口は結構頻繁に町田と模擬戦を行うが、山村は前回模擬戦を行ってからかなりの月日が経っている。正直覚えている限りでは全然町田に敵わなかったが、本日の鍛錬では懐の深い町田に対して攻撃を交わしながらヒットアンドアウェイ戦法で互角に戦うことが出来たのである。町田も記憶に残っているイメージで戦闘を始めたが、想像以上に成長している山村に驚いたのである。2人はベンチに座っている谷口のところへ移動し、休憩する。飲み物で喉を潤し、少し落ち着いたところで谷口が口を開く。
「ところで町田って、いつも女の子5人連れてるじゃん。あれって何なの?」
常々疑問に思っていたことを聞いてみた。
「あー。一言で言えば女友達なんだけどね。他人からは町田ファンクラブとか言われてるらしいけど、何だろうね。俺もよくわからない」
微妙な回答に谷口は逆に驚いた。周りから見えているイメージと本人の感想が多少食い違っているからだ。でもまあ、通常考えたらそのような関係なのが当然であり、何やら不埒な人間である富田 剛や本田 仁が考えている関係性というのが間違っているのだ。
「あの中に彼女がいるとかでもなく?」
「そうだよ。逆にあの5人からはもし彼女を作るのであれば自分たち5人以外からにして欲しいとも言われる。何だろね。何か俺をアイドルか何かの扱いにして楽しんでるのかな」
今まで何か勝手に取っ付きにくいと思っていたが、意外と自分達と変わらない一面を見せられて、谷口と山村は町田のイメージが大きく変わる。そのため、これからはもっと接していこうという気持ちになり、この後いろいろな話題で盛り上がった。