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1991年4月25日(木)
【森の小径:右田 良子・判 祐市・佐々木 雅美・藤原 静音】
「どうも南東の扉の奥にラスボスがいて、そのクリアぐらいで4階に降りれるのかな」
「まだ北西部分が終わってないけどね」
ランチを食べ終えて、ミルクティーを軽く口に含んだ右田 良子の言葉に佐々木 雅美が自分の考えを述べる。ここは喫茶店『森の小径』。本日午前中に各自鍛錬を行った後、ランチを一緒に食べるべくここに集合したのである。王家の紋章部隊は昨日の探索で北東部分の探索もほぼ終え、地下3階でまだ終わってないのは北西部分だけとなる。ここまで南東部分の開かない扉と、南西部分に地下4階に降りる階段が発見されている。地下2階までのパターンで行けば、南東部分の扉の奥におそらくブッチャーや天才のような亜獣が待ち構えているのではないかと予想できる。
「来月ぐらいには南東の扉が開いて、ラスボスと戦えるかな〜。ところで雅美と静音は何か浮いた話はないの?全然聞かないんだけど」
「私はないかなー。出会いがないし」
「私もですね」
右田の言葉に佐々木と藤原 静音が言葉を返す。佐々木とは大学入ってから4年、藤原とも同じ部隊になって1年半ぐらい一緒にいる。だが、この2名が男性とどうのこうのという話題は聞いたことがない。
「出会いないかなあ。まあ学部か冒険者になると思うんだけど、冒険者で良い人とかいないっけ?」
「逆に聞くけど良い人いる?」
右田は佐々木の答えを聞いて、冒険者の男性を頭に浮かべる。年下でも気にしなければ人数自体は結構いそうである。とりあえず、1番身近な人の名前を出してみる。
「川崎さんとか」
「川崎さんねえ。真面目で素敵な人だとは思うけど、ちょっとタイプじゃないのよね」
「私もあまり真面目な人は得意じゃないので、もう少し不真面目?な人が良いかもです」
佐々木と藤原が順番に川崎についての感想を述べる。
「後、誰かいるっけ。1期だと前田君、原田君、村川君、村田君、富田君、渕上君、坂木君、河本君かな。あまりよく知らないけど、とりあえず原田君は彼女がいるんだよね。他はどうなんだろう」
「その中だと富田君も彼女いますよ。私と同じ魔術師の多田隈さんと付き合ってます」
「そうなんだ」
藤原の情報を聞いて右田は軽く頷き、色々と何か考えているようである。しばらく右田の思考の表情が続き、静かな雰囲気になる。
「良し決めた!雅美は前田君で静音は村川君ね」
「乱暴やな」
元気な声で叫んだ右田に判 祐市が呆れ顔で言葉を漏らす。それを聞いて佐々木と藤原も苦笑いをしていた。