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1991年5月20日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「あ、罠解除できました」
 目の前の罠を解除し、富田 剛が前田 法重に報告をする。ここは熊大迷宮地下3階。本日も3階に降りてまず南東部にある罠がかかった扉の解除を行ったが、罠を解除できた。
「とみたんすごーい。さすが!」
 多田隈 五月が感嘆の声を上げる。この扉はまだ他の罠解除士が解除できたという話は聞かないので、富田が初解除ということになる。
「さて、どうするかね。多分ボスがおるぞ」
「戦ってみたい気持ちでどきがムネムネはしますけどね」
 前田の発言に原田 公司は自分の意見を述べる。前田が牛嶋 香織と村田 健に視線を向けると、判断は2人に任せるようである。
「俺もお二方に従いますよ」
「私もパパに従うー」
 全員が自分と原田に判断を預けたのを確認し、前田は声を発する。
「行こう」
 そう言って原田に扉を蹴破る指示をした。扉の奥はいつもの空間になっており、おそらくいつものようにボスがいるのであろう。3つある扉を富田は調べ、どのドアにも罠はなく、亜獣もいないようである。原田が3つの扉を順に蹴破ると、右と左は空室で真ん中にだけ例のカエルの置物があった。
「何々、名前を叫んでカエルを動かせか。ブッチャーと一緒のパターンやな。たぶん1対1のやつや」
 原田の言に全員が同じ意見である旨の表情を浮かべる。
「さて、誰が先に行きます?前田さん行きます?」
「近くにおるんやけん原田からでいいんじゃない?」
 その言葉に牛嶋も頷き、原田は1番手になる決心をする。
「原田だ!」
 そう叫んで原田はカエルの置物を動かす。すると煙が立ち上り、亜獣が出現する。今までは太った体型のブッチャーと何か変な優男が出てきたが、今回はかなりしっかりした美形で強そうな亜獣である。
「久しぶりだな。原田」
 こういって亜獣は戦闘準備をする。原田は久しぶりだと言われたが、もちろん会ったことはない。こうして亜獣と原田の戦闘が始まる。予想通り亜獣は強く、攻撃力、回避力共に今までの亜獣よりも格段に強力である。ただ、原田も戦士としては名の知れた実力を持っているので、亜獣の攻撃を確実に喰らい、確実に反撃を加える。かなりの時間がかかったが、原田は亜獣にとどめの1撃を加えた。すると亜獣は少しずつ後ずさっていく。
「どうやらここまでのようだな。さらばだ原田!」
 そういって亜獣は後ろを振り向き、高い場所から飛び降りるようにジャンプし、消滅して行った。
「あ、物質回収します」
 亜獣の最後の動きに少し見惚れていた富田が1テンポ遅れて物質回収に向かう。原田はかなり攻撃を喰らったらしく、ダメージを負っていたが、重症と呼べるものはなく、村田の回復で全開出来るぐらいの状況だ。この後、前田もこの亜獣と戦って勝利したが、牛嶋は本日の挑戦はやめておくことにした。ちなみにこの亜獣の名前であるが、亜獣が最後にさらばだ!と叫ぶので、さらばだにしようかと言っていたが、どこかで何かが起こったらしく、登録名はサラダバーとなった。

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