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1990年6月12日(火)

【スタジオ:坂木 雅幸・原田 公司・富田 剛・本田 仁】
「すげーな」
「まだ出てからそんなに経ってないっすよね」
 ゲーム画面を見ながら原田 公司が思わず言葉を漏らし、それを聞いた富田 剛も感想を口にした。ここは午後2時過ぎのゲームセンター『スタジオ』。たくさんのゲーマー達で賑わっている。原田と富田は午前中の鍛錬の後で合流し、レストラン『北食2階』で昼食を食べた後『スタジオ』にやってきたのである。入り口から店内に入ると、すぐ右側に筐体が縦に2台並んでおり、その右の台がパズルゲーム“コラムス”である。このゲームは今年の3月に発売されており、ここでも1台稼働している。富田はそもそもあまりパズルゲームが得意ではないのでほとんどやったことがなかったが、原田は結構コラムスはやりこんでいる。その原田がすごいというプレイをしている人物が今目の前にいるのである。
「そういえば坂っくんテトリスも無限にできるって行ってたっす」
「そうか。パズラーやな」
 コラムスをプレイしているのは冒険者仲間の坂木 雅幸であり、同じゲーマーでもあるので、ここでも良くゲームをプレイしているのを見かける。特にテトリスを永遠とやっている姿はちょくちょく見かけており、テトリス下手の富田はその度に少し悔しい感情が湧いているのである。
「あ、お疲れ様っす」
 そうこうしていると、入り口から本田 仁が入ってくる。そして2人がコラムスのプレイを見ているので自分も覗いてみた。
「永パっすね」
 すでにカンストしていることに本田も気付き言葉を漏らした。
「本田くんもできるんだっけ?無限コラムス」
「いや、まだあまり本気でやったことないから無理っす」
 確認のために尋ねてみた富田の質問に、本田は軽く返事を返す。これを聞いて富田はじゃあ本気でやってみてよと言おうとしたが、簡単に出来るようになるのを見るもの悔しいので、この場は言わずにおいたのであった。

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