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1991年3月18日(月)

【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「香織さーん、原田さーん、パパー頑張れー」
 多田隈 五月の声援が迷宮内に響く。ここは熊大迷宮地下2階。黒髪てへろく部隊は本日も地下2階の天才の部屋を訪れている。天才との勝負を前田 法重と原田 公司のフォローがあるにしてもほぼ1人で対峙している牛嶋 香織はみるみると剣筋が上達しているように見える。前田と原田から見ても天才クリアはそう先ではない気がしている。こうなると天才クリアの後は地下3階に降りることとなり、まだ地下3階に降りたことがない牛嶋と村田 健、特に多田隈は地下3階に行ってみたくて仕方がないようであり、声援にも力が入っている。
「頑張ってはいるし、声援は嬉しいけど、パパでちょっと力が抜ける」
 微妙な表情を浮かべながら牛嶋が言葉を発し、原田も笑いを堪えた表情を浮かべる。前田もパパと声援されるのは流石に小っ恥ずかしいが、呼んで良いと言った手前仕方がないと思っている。
「そういえばこの前から前田さんめいちゃんからパパって呼ばれてるけど何でかな。富田知ってる?」
 腕を組んで戦士たちの戦いを見守っている村田が富田 剛に尋ねる。
「知ってますよ。何かめいちゃんのパパの若い頃が前田さんに似てるらしいです」
「え、パパって本当のお父さん?」
「めいちゃんに怒られますよ」
 村田の言葉に富田は呆れ気味に突っ込みを入れる。どう考えてもパパというのは本当のお父さんのことなのだが、メンバーが変わっても相変わらずこの部隊は不埒な人間ばかりのようである。

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