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1989年10月18日(水)
【某サークルO:小林 みゆき・伊達 美樹・渕上 幸太郎・河本 多喜二】
「無事全員合格して、同じ舞台になったわね」
「オカルトでしたねえ」
満足げな表情を浮かべて発した小林 みゆきの言葉に、河本 多喜二も笑顔で突っ込みを入れた。ここは某サークルOの部室。本日は別の部員も何人か部室にやってきている。冒険者組織の採用試験を受けた小林、伊達 美樹、渕上 幸太郎、河本は全員合格し、同じ舞台での冒険者になれたことを喜んでいる。特にギリギリの当落線上にいた河本が合格できたことは他の3人にとって非常に嬉しいことであった。この4人に罠解除士の森 瑠美、僧侶の千場 恵梨を加えた6人で私をスキーに連れてってという部隊名で部隊を編成している。ちなみに部隊名であるが、これに関しては他の冒険者達ともどのような部隊名にするかについて話し合いを行った。そこで、あまり難しく考えても仕方がないので、その部隊の隊員が部隊名を1つずつ考えて、ジャンケンか何かで決めようということになったのである。私をスキーに連れてってという部隊名は千場 恵梨が考えたモノだ。
「私たち3人戦士だから一緒に鍛錬できるけど、河本くん1人で大丈夫?寂しくない」
今後しばらくは鍛錬を行うことになるのだが、河本だけが魔術師ということを伊達が少しだけ心配して声をかける。それに対して河本は言葉を返す。
「まあ魔術師はそもそも5人しかいないですからね。同じ1回生の子もいるし、全員優しそうなので大丈夫ですよ」
心配をどこ吹く風のような表情で河本はこのように返事をした。実際魔術師で採用された5人は全員人がよく、良い雰囲気で鍛錬できているのだ。
「なら良かった」
そういって伊達は安心した表情を浮かべて、また何やら手帳に記入を始めた。