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1991年8月6日(火)

【戦士鍛錬場:前田 法重・原田 公司・谷口 竜一・山村 三平太・姫村 ありさ・後藤 瑠衣】
「やっぱり強いわ」
「今のところ勝てる気はしないわね」
 左の頬に流れる汗をタオルで拭いながら姫村 ありさが発した言葉にドリンクを飲んだ後で後藤 瑠衣が答える。ここは戦士鍛錬場。本日も多くの戦士が鍛錬に訪れている。戦士の面々は大分ショックから立ち直りつつあり、探索が行えない点を除けばほぼ日常が戻って来ている。本日某サークルRのメンバーである前田 法重、原田 公司、谷口 竜一、山村 三平太の4人は一緒に鍛錬を行っていたが、姫村と後藤が谷口と山村に模擬戦をお願いに来た。もちろん断る理由もないので模擬戦を行おうとしたが、前田と原田がいやいやここは私めがと言いながら模擬戦に名乗り出たのである。結局姫村と前田、後藤と原田が模擬戦を行うこととなり、先ほど模擬戦が終わったばかりである。
「強いでしょう。あの2人」
 そう言いながら谷口が近づいて来たので姫村と後藤は力強く頷く。谷口もあの2人、特に原田とは良く模擬戦を行うが、自分のペースに持ち込んで戦うことができない。原田の不思議な動きに翻弄されたり、一瞬の隙をついて懐に入られる動きの速さは年季の違いがあるとはいえ、まだ格段の実力差がある。少し雰囲気が落ち着いたので、谷口は頭に浮かんがことを尋ねてみる。
「そういえば2人って他の女の子3人と一緒に良く町田と一緒にいるよね?あれって何?」
 そう尋ねられて、一瞬動きが止まった姫村と後藤はお互いに顔を見合わせる。少しの沈黙があった後、姫村が口を開く。
「あまり聞かれないから一瞬考えてちゃった。簡単にいえば友達の集まりよ。ただ男女比率が1対5ってだけ。だから変に見えるのかな」
 この前町田から聞いたことと同じような回答を聞いて谷口は納得する。
「もちろん全員康祐のことは好きだけど、付き合いたいとかそういうのではないの。康祐と一緒にいると楽しいから一緒にいるだけ」
 姫村が自分たちの関係について簡潔に説明する。話が終わったようなので、後藤が捕捉をする。
「何か町田ファンクラブって言われてる見たいだけど、ほんそれで私たちは康祐のファンなの。ただそれだけ」
 そういってドリンクを口にする。
「最近谷口君も康祐と良く鍛錬したり話したりするって聞いたわ。だから谷口君もファンクラブ入る?会費とかはないわよ」
「いや、それは遠慮しておきます」
 後藤の誘いを谷口は華麗に受け流した。

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