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1990年10月1日(月)
【魔術師鍛錬場②:本田 仁・菅野 芳江】
「本田君も魔術師だったんだー。一緒に頑張ろうね」
ひとしきりの説明会が終わった後で、体力測定に向かう途中、菅野 芳江が本田 仁に声をかけた。菅野と本田は中学と高校が同じである。高校時はほとんど接点がないが、中学の時は同じクラスだったこともあり、普通に仲良くしていた。
「あ、菅野さん。久しぶり」
感情を表すことなく本田は菅野に挨拶を返す。一緒に歩いて運動場に向かう間、菅野は何やら話しかけているが、本田は軽く聞き流している。それよりも本田が気になったのは菅野のルックスだ。中学当時もかなり幼い見た目だったが、大学生になった今それに拍車がかかっているように見える。着る服によっては子供運賃でバスが乗れるのではないかとも感じる。
「何というか・・・」
本田が何やら呟く。
「富田さんが好きそうやな」
「え、本田君何か言った?」
呟きが聞こえて菅野が本田に聞き返す。
「いや、菅野さんは昔とあまり変わらないなと思って」
「何それ、うけるーキャハハ」
外見だけではなく中味もあまり変わっていない菅野をみてやれやれだぜと思う本田であった。ちなみに菅野は以前熊大生協食堂で見かけた町田ファンクラブの中の1人である。