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1990年11月2日(金)

【黒髪祭:中元 可奈・四谷 謙詞・真田 美和・森 瑠美】
「あ、先輩方いらっしゃいませ」
 熊大教養部側の浄霊の森に建てられたテントの前で客引きを行なっていた中元 可奈の大きな声が響く。本日は黒髪祭2日目。金曜日ということもあり、夕方過ぎのこの時間からお酒を目当てに多くの人が熊大を訪れている。中元は四谷 謙詞や富田 剛が所属する文学部史学科の1つ下の後輩になる。去年と同じく史学科1回生はブースを出して料理を提供しているのだ。もちろんそのことを四谷は知っていたので、真田 美和と森 瑠美を連れて様子を見に来たのである。
「中元さんお疲れ様。頑張ってるね〜。3人空いてるかな」
「いやー、罠解除士の大先輩3人に来ていただいたんですから、空いてなくても空けますよ」
「いや、そこまでしなくていいよ」
 気合の入った中元の返事に、少し笑いながら四谷が言葉を返す。ただ、そこまですることもなく、3名分の席は空いているようだ。
「では、あちらの席へどうぞー」
 そう言われて、3人は入口から入って左奥のテーブルに座った。
「では、チケット買ってもらってた分を順次持ってきますね」
 笑顔でそういった中元は隣のテントに入って行った。
「それにしても、去年は俺も同じようなことやってたんだよな。」
「そうよね。そして私と真田ちゃんでこんな感じで様子見に来たわね」
 3人は去年の黒髪祭を思い出すと共に、それからの1年を振り返った。いろいろなことを思い出し、会話が弾んだ。
「では、まずは飲み物から、ビールとワインです」
 中元がドリンクを持ってきたので、乾杯し、さらに話を弾ませた。

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