1990年12月1日(土)
【センタープラザ:四谷 謙詞・真田 美和・山村 静香・扇 開次】
「ん?あれ四谷君と美和ちゃんだ」
視線の先に2人の姿が見えた山村 静香がこう呟く。ここはセンタープラザ。熊本バスセンターである交通センターに付随するショッピングモールである。本日自分の買い物に扇 開次を付き合わせたお礼に昼食を奢り、そのまま何となくセンタープラザをぶらついていたら2人を発見したのである。
「四谷君、美和ちゃん。おつかれー」
「あ、山村さんと扇くん」
「静香と開次君も来てたんだー。おつかれー」
山村が2人に声をかけると四谷と真田も気づいて言葉を返す。同じ冒険者の罠解除士である4人は四谷と真田が1期生で山村と扇が2期生である。冒険者としては四谷と真田は先輩ということになるのだが、大学の回生としては4人とも2回生であり、山村と真田は学部学科も一緒である。
「何してたのー」
「いやー、買いたいものがあったので開次連れて買い物して今昼ごはん食べたところ」
「そなんだーこれからどっか行くの?」
「えー、特にすることもないからぼちぼち帰ろうかなと思ってた」
真田と山村が会話しているのを四谷と扇は黙って聞いている。
「私たち今からボウリング行こうかと言ってたんだけど一緒に行かない」
「いいねー、行きます!」
元気な声で真田の声に返した山村であるが、ボウリングの件に関して扇の意思は全く無視されている。四谷はそんな扇を見つめながら複雑な感情が湧いていた。