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1990年10月25日(木)

【罠解除士鍛錬場:富田 剛・四谷 謙詞・大塚 仁】
「ブルーインパルスー」
 罠解除装置レベル3の解除に失敗し、吹っ飛ばされた富田 剛の声が鍛錬場に響き渡る。ここは罠解除士鍛錬場。本日も多くの罠解除士が鍛錬を行なっている。現在地下2階を探索している富田と四谷 謙詞が地下2階階段の罠を解除出来るようになるべく罠解除装置のレベル3の解除を交代で行なっているのだ。
「うーん。まだまだやな」
 お尻をさすりながら四谷にこう告げた富田は椅子に座ってポカリスエットを口にし、それを見た四谷は気合を入れ直して罠解除装置に向かう。5分後、四谷は罠解除装置に吹っ飛ばされた。
「まだ厳しそうですね」
 2人の罠解除装置チャレンジを見ていた大塚 仁が富田に声をかける。
「うーん。罠解除自体の流れば大分わかってきたんだど、指の動きがまだ追いつかない」
 そう言った富田の隣の椅子に四谷が座り、四谷もドリンクを口にしている。
「ところで気づいたことがあるんですけど、聞いていいですか」
「どした」
 大塚の言葉に富田が簡単に返す。
「お二方の解除を見ていて一つ疑問があるんですけど、吹っ飛ばされる距離が毎回富田さんの方が長いんですよね」
「え、そうなの?」
 ドリンクを飲んでいた四谷が大塚の言葉に疑問を呈する。実際に吹っ飛ばされている2人はお互いの吹っ飛ばされる距離など気にしていないので、認識できていない。
「あ、それは多分吹っ飛ばされる瞬間に俺が後ろに飛んでいるからだと思う」
 四谷の言葉の後で富田が口を開く。
「吹っ飛ばされる瞬間のドンって感覚が嫌だからそれを回避するために同じ力・同じ方向に飛ぶようにしているんだよね。いわゆる同ベクトルジャンプ」
 そう言いながら罠解除装置に向かう富田であったが、四谷と大塚は何がいわゆるなのかの理解が出来なかった。
「一人でブルーインパルスー」
 例のごとく吹っ飛ばされながら叫ぶ富田の声がまたも鍛錬場に響いた。

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