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1990年11月29日(木)
【戦士鍛錬場:村島 楓・田口 孝平・神崎 道恵・熊田 太陽・金城 歩・平山 由美】
「実力が付いているかどうかは分かりにくいな」
「多分同じ成長曲線になるだろうからね」
ふと思いついたことを口にした田口 孝平に対して、村島 楓が自分の考えを説明した。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。3期の戦士も本日は全員集合しており、各所で模擬戦を行っているところである。試験を合格して戦士になった15名であるが、その実力は上位と下位で結構な差がある。そこで鍛錬を行う場合も実力を合わせた相手と行うことになる。基本的には黒髪オラトリオ部隊と火の鳥部隊の戦士が実力上位なので、この2部隊が一緒に鍛錬を行い、24時間戦えますか部隊と長崎は今日も雨だった部隊、罪には罪の報いが部隊の3部隊が日によって相手を変えつつ鍛錬を行っている。後衛3職種は鍛錬を進めていく中で課題をクリアしていくので、自分の成長を感じやすいが、戦士は特に何かスキルが増えるわけではなく、ただ単に戦闘レベルが上がっていくだけなのだ。しかもそれは一緒に鍛錬している相手も上がっていくので、相対性理論ではないが、自分の成長を感じにくいのである。
「強くなってるって信じるしかないよ」
「でもまあ探索までは2ヶ月程あるし、焦んなくてもいいと思うわよ」
実感がなくても確実に実力が付いているはずだと主張する熊田 太陽の言葉を聞いて、金城 歩がまだ実際の探索までには時間あることを口にする。予定では実際に探索を行うのは来年の1月下旬なので、それまでに探索に足る実力を付ければ良いのだ。この後はしばらく休憩した後で、また模擬戦を開始する。そしてこの模擬戦が終わったタイミングが12時手前だったので、本日の鍛錬はこれで終了とし、各自帰路に着いたのであった。