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1990年9月22日(土)

【森の小径:右田 良子・判 祐市・原田 公司・草野 紗江】
「あれ、紗江と原田君だ」
 入り口から入ってきた原田 公司と草野 紗江に気づいた右田 良子がこう口にした。午後12時を少し過ぎた喫茶店『森の小径』。右田と判 祐市はいつものように本日のパスタを注文し、出来上がる時間をのんびりと待っている。
「あ、良子さんこんにちは、判さんもこんにちは」
「判さん、右田さんお疲れ様です」
 右田と判に気づいた草野が2人に挨拶をし、原田も続けて挨拶をする。右田は2人をしばらく見つめた後でにっこりと笑い、それを見て草野はペコリと頭を下げて、多少離れた席に原田と座った。
「いやー、あの2人がねえ」
 ニヤついた表情を浮かべながら右田がこう呟く。判はあまり興味が無いようで、窓から子飼交差点を何気なく眺めている。
「それにしても」
 遠目で2人を眺めながら右田が口を開く。
「絵に描いたような美男美女カップルだわね」
 そういって右田は視線を判に向ける。
「まあ、私たちほどじゃ無いけどね〜」
 多少頬を赤らめて右田がこう口にしたが、判は特に気にした風でもなく、相変わらず窓の外を見つめていた。

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