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1991年6月11日(火)

【熊大冒険者組織:足立 賢治・大田 誠・加藤 愛奈・島田 笠音】
「あれ、その女の子誰ですか」
 加藤 愛奈は机に座って勉強を行なっている、おそらく中学生の女の子を見つめながら、足立 賢治に質問した。ここは熊大冒険者組織。足立 賢治が通常常駐している長官室である。話があると言われて呼び出された加藤は、長官室に入室したが、いつもは正面に座っている足立とその横に立っている大田 誠の2人しかいない。だが、本日は今までなかった場所に机が設置されており、そこで女の子が勉強を行なっている。
「ああ、しばらく親戚の子を預かることになってね。名前は島田 笠音だ。笠音、こちら加藤さんだ。挨拶しなさい」
 そう言われたのに気づいて、勉強の手を止め、立ち上がり、加藤の近くへと歩いてくる。そうして加藤の顔を凝視した後、軽く頭を下げて、机へと戻っていった。
「ちょっと人見知りでな。でも悪い子ではないので面倒を見てやってほしい」
「面倒を見るとは」
 足立の言葉に加藤が疑問を呈する。
「あの子は特別な力を持っている。将来的に我々に役立つ情報が得られるかもしれないからいろいろ調べてほしい。僧侶の第2鍛錬室を使ってもらって構わない。あと必要であれば手伝いとして職員を数人使ってもらっても良い」
 加藤を見つめながらゆっくりとした口調で足立は言葉を発する。それに対して加藤は返事をする。
「わかりました。私にできる範囲でやらせてもらいます。手伝いはとりあえず要りませんが、必要そうであれば美麗に手伝ってもらおうと思うのですが大丈夫ですか」
 その言葉に足立は軽く頷き、それを確認した加藤は後ろを振り向き、長官室を出て行った。

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