1991年7月23日（火）

【迷宮待機場：多田隈　五月・富田　剛】
「さわやかーロッテ・・・クールミントガム」
「とみたん。それ違うよ」
　軽快な声で歌を歌った富田　剛に多田隈が笑顔で突っ込みを入れた。ここは迷宮待機場に付随している簡易鍛錬場。本日多田隈が待機担当なので、例によって富田もやって来ている。最近吹雪や一掃の呪文を覚えた多田隈であるが、その呪文を富田は迷宮内でしか見たことがない。聞いた話では魔術師の呪文は迷宮内と鍛錬場では違う現象が起きるとのこと。まあ、迷宮内で起こっている爆発とか吹雪を鍛錬場でやられたら怪我人続出である。そこで富田は簡易鍛錬場で多田隈に自分に向けて吹雪を打って欲しいとお願いしたのである。打ってもらうと確かに少し涼しい感じがする。鍛錬場で起きる現象はこれぐらいかと感じながらも、涼しいのは確かなので、クールミントガムのCMを富田は歌おうとする。だが、口から出て来たのはグリーンガムのCMだったので、グリーンガムの部分から無理やりクールミントガムのCMにテンポに変えたのである。が、多田隈にはバレてしまった。
「パッと頭に浮かんだのがグリーンガムのCMやった。でもバレないように繋げたと思ったのになあ」
「全然ダメだよ」
　言い訳をする富田に多田隈がニコニコして突っ込む。この後は待機場で2人でのんびりと過ごし、本日もSOSは来なかったので全部隊の帰還を確認した後、ランチを食べに『煉瓦亭』へと向かった。