1990年11月19日(月)
【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「あ、やっぱり動くようです」
先ほどから何かしら確認していた富田 剛がこのように報告した。ここは熊大迷宮地下1階のエレベーター。以前2階に降りる前に1回訪れてそのままになっていた箇所である。まだ地下3階には降りれないので、最近は天才との戦いばかりになっていたが、ふとしたことでエレベーターが動くんじゃないかと思いつき、本日はここへやってきたのである。
「そうか、では一旦動かしてみるかね。富田頼む」
「了解しました」
川崎 志郎の指示に富田は返事を返す。エレベーターには入って右手前に大きなレバーがついており、奥と手前に動かせるようになっている。前回来た時は全く動かなかったが、今は動かせるようになっている。
「では、おそらく手前に引くと下に降りると思いますので、手前に引いていますね。一応何があるかわからないので気を付けておいてください」
そういって富田はレバーを手前に引いた。
「うーん」
エレベーター内に謎の音声が響き、エレベーターは下に降り始める。しばらく下に動いた後、エレベータは止まり、目の前には扉が出現した。
「おそらく2階ですかね。扉には罠はないですし、近くに亜獣はいないようですが、どうします?」
「一旦開けて確認してみようか」
前田 法重はそう言って原田 公司に目配せした。それを確認した原田が扉を蹴破る。扉の奥は通路になっており、雰囲気的にはやはり二階のようである。ただ、エレベーターを降りた部分の空間は非常に狭く、すぐに探索が終わってしまう。
「何もないようやね。戻ろうか」
川崎の指示に隊員たちは従い、エレベーターへと戻る。その後試しに富田はレバーを手前に引いてみたが、予想通り下には動かない。
「では戻りますね」
そう言って富田はレバーを奥へと倒す。
「深いい」
またも謎の音声がエレベーター内に響き、エレベーターは上へと移動を始める。その後1階に戻った黒髪てへろく部隊の面々は通常通り天才の部屋へと向かった。