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1991年1月11日(金)

【熊大迷宮:小室ファミリー部隊】
「では噂のブッチャーと戦うことにしましょう」
 ブッチャーの部屋の目の前で三木 浩司が全員に向けて言葉を発した。ここは熊大迷宮地下1階。ブッチャーの部屋の前の空間である。地下1階に出現する亜獣は、滅多に遭遇しない傭兵を除いては難なく倒せるようになったので、本日意を決してブッチャー戦に挑むことになったのである。
「まず誰から行きますか」
「私から行ってもいいですか」
「そうだね。倉本さん行っといで」
 三木の質問に倉本 華が答え、その言葉に東堂 静馬が賛同した。倉本は部隊の全員に目配せし、大きく頷いた後、ブッチャーの部屋へと向かう。
「君が倉本さんかねー。かかってきなさい」
 ブッチャーが出現し、倉本との勝負が始まる。倉本の動きは素早くはないが非常に滑らかで、ブッチャーの攻撃を全て危なげなく交わしている。交わしつつも時折攻撃を加え、ブッチャーにダメージを蓄積させているように見える。
「いや、すげーな」
「実際戦ってるところ見るのは久しぶりだからね」
 倉本とブッチャーの戦いを見ながら三木は感嘆の声をあげ、東堂も倉本の動きの素晴らしさに感動する。自分達が亜獣相手に暴れている間にここまで剣技を磨いていたのだ。数分後、ブッチャーはとどめの1撃を喰らい消滅し、倉本は軽く礼をしてみんなのところに戻ってくる。
「何発か喰らっちゃった。」
 そう言って倉本は神田 多香美に回復を依頼し、三木と東堂に次どうぞという感じで目配せをする。
「よし、次は俺が行く」
「君が三木君かねー。かかってきなさい」
 倉本とは違い、泥臭い戦いぶりであったが、時間をかけてブッチャーを倒し、東堂と交代する。東堂も何とかブッチャーを倒すことが出来たが、被弾した数は自分が一番多かった事に反省し、神田に回復を依頼する。この後、もう1戦するかどうか悩んだが、本日はこれで探索を終えることにした。

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