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1991年5月21日(火)
【魔術師鍛錬場:藤原 静音・榊 麗美・河本 多喜二・太田黒 佳美】
「おお、すげー」
目の前で起こった現象に榊 麗美と河本 多喜二が驚きの声を漏らす。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日も多くの魔術師が鍛錬を行っている。本日1期生3人で爆発の次の課題を行なっていたが、ついに藤原 静音が爆発した光球の破片を爆発させるのに成功したのである。
「おめでとう。やっぱり藤原さんが1番だったわね」
藤原が大爆発を成功させたのに気づいて、4期の指導を行っていた太田黒 佳美が祝福に訪れる。それに藤原は恥ずかしそうな表情を浮かべながら礼を返す。
「やっと出来ました。課題である大爆発と吹雪と一掃。1つ目クリアです」
肩で息をしながら藤原がこう言葉を発する。爆発が成功して約1年が経とうとしている。これから吹雪と一掃を習得するのもそれぐらいの時間がかかるかと思うと少し絶望感がただよう。
「大爆発ができたから、吹雪と一掃もできるようになるはずよ。原理は違うけど、要は魔力量の成長によって出来るようになるものだから」
3人の不安を払拭するように太田黒は魔法の原理について説明した。同じレベルの魔法は1つ1つ別々な習得努力が必要なわけではなく、要は自分の魔力量の増大によって使える魔法が増えてくるというものなのだ。今まで大爆発が出来なかったのは大爆発ができるだけの魔力量を持っていなかったからで、大爆発が出来た今、その魔力量を身につけたと考えられる。であれば吹雪や一掃もやり方さえ気づければ使えるようになるはずなのだ。
「なので藤原さんは後はどうすればその現象を起こせるかを考えるだけです。恐らくすぐに出来るようになると思います。榊さんと河本君はまだもう少し魔力量が足りないようだから、日々鍛錬を怠らずに頑張ってください」
笑顔を浮かべながらそう言った太田黒に対して、3人は決意の表情を浮かべて礼を行った。