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1991年6月13日(木)
【スタジオ:富田 剛・谷口 竜一】
「へー、そうなんだ。知らんかった」
谷口 竜一の言葉を聞いて、富田 剛は正直な感想を漏らした。ここはゲームセンター『スタジオ』。午後から何もすることが無かった富田は、『スタジオ』にやってきて、ストⅡをプレイしていた谷口を見つけ、台の正面に座ってプレイを眺めている。谷口はCPU戦を行なっており、連続技を試しつつラウンドを進めていく。ちなみに谷口の持ちキャラはガイルであり、ガイルのメインの連続技は飛び込み大パンチ→しゃがみ小パンチ→サマーソルトキックである。谷口はこのゲームを結構やりこんでおり、リュウがピヨった時にたまに大ダメージが入ることを富田に説明したのである。
「ゲージの減りが半端じゃないですよ。富田さんもリュウピヨったら確認してみてください」
ちょうどザンギエフを倒してラウンドが変わるタイミングで、お茶を飲みながら谷口がこう告げる。するとラウンド選択の飛行機が日本へと向かい、次の相手はリュウになる。
「うまくピヨったらいいですけどね」
そういって谷口はリュウとの対戦を始める。ストⅡのCPUは各キャラごとに動きがある程度決まっており、リュウはラウンド開始から後ろに下がり始め、波動拳を打つことが多い。谷口はその特徴をついて波動拳を打つタイミングで飛び込むことに成功し、連続技を叩き込んだ。その連続技でリュウはピヨり、再度連続技を決めるべくガイルは飛び込む。
「ウワー」
連続技を決めるまでもなく、ガイルの飛び込み大パンチが当たった瞬間にリュウは体力が0になった。急激に減っていく体力ゲージを見ながら谷口と富田は数秒沈黙していたが、その後大声で笑い合った。