2004年6月30日(水)
【熊大第2迷宮:ターンエー期待十分部隊】
「ヒャッハー!ここは通さねえぜー」
「おお、やっぱりビビるな」
目の前にいきなり出現した骸骨を見つめながら、山平 僚子が思わず言葉を漏らした。ここは熊大 第2迷宮。ターンエー期待十分部隊は先週地下3階のボスを撃破しており、本日は初めての地下4階にやってきている。第2迷宮の地下4階は特殊な空間となっており、罠解除士の亜獣探知が使用出来なくなっている。そこで自分たちの周りにいる亜獣を認識することが出来ないので、いきなり目の前に亜獣が出現することとなるのだ。今回は亜獣としては正直なぜここに存在するか不明なほど弱い骸骨だったので、奇襲を受けても難なく対処することができた。だが、通常の地下4階レベルの亜獣が出現すると、うまく対応できるかはまだ未知の状況である。とりあえず殲滅した骸骨から生成された物質を堀越 希巳江が回収している間に作戦を考えてみる。
「マニュアルには戦士の1名が敵を惹きつけて、初撃を何とかした後、残り2人の戦士で攻撃するって書いてあったな。その戦士は喰らう系が理想らしい。あと、予知系はやめた方が良いとも書いてあった」
あらかじめ熟読していたマニュアルの内容を村木 安之助が口にした。この部隊の戦士は3人とも避ける人であり、山平が予知系、堅田 静華が神技系、村木が起源系である。そこで、その囮になる戦士は予知系の山平を外した2択になるが、ここは自分から立候補するのが無難であろう。目の前で堅田が亜獣にボコられるのを見たくはないからだ。
「なので俺が囮役やりますね。フォローお願いします」
この意見には部隊のメンバー全員が同意したので、地下4階探索時の隊列が決定する。この後、2回ほど亜獣との戦闘を行ったが、流石に初撃を確実に避けるのは難しく、村木は結構なダメージを喰らう。もちろんダメージ自体は紺野 智帆に回復してもらえるのだが、奇襲とはいえ亜獣からの攻撃を喰らってしまう精神的ダメージが蓄積し、現状は2戦するぐらいが限界のようである。