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1991年1月4日(金)

【熊本空港:原田 公司・草野 紗江】
「紗江、おかえり」
「ただいま」
 笑顔を浮かべて草野 紗江を待っていた原田 公司が草野に声をかけ、草野も言葉を返す。ここは熊本空港。本日千葉県の実家に帰っていた草野が飛行機で熊本に戻るということで、原田が車で迎えにきていたのである。
「お疲れやったね。荷物持つから渡しー」
 そう言って原田は荷物を受け取り、運ぶ。数日実家に戻っていたので荷物も結構多かったが、普段重装備で迷宮を探索している原田には何てことない。ただ、一見原田は長身の細身体型なので、道ゆく人は原田の力強さを不思議に感じている。駐車場まで二人は歩き、車のトランクに荷物を乗せ、原田は運転席、草野が助手席に座る。原田はエンジンをかけて車を走らせ、第一空港線経由で黒髪に向かう。
「どうだった?実家は。皆さん元気にしてた」
「うん。相変わらず変わらなかったよ。公司は年末年始何してたの」
「何もしてないよ。富田とか本田とずーとスタジオでゲームしてた」
「相変わらずねえ」
 ほぼ予想していた通りの原田の言葉に多少の安心感を感じながらも呆れた表情で草野はこう言葉を漏らす。
「そういえば、冒険者組織が始まるまで結構日があるから、おそらく毎日道で宴会になるんだよね。で、前田さんがよかったら紗江も一緒にどうかって言ったけどどうする」
「そうね、私も特に予定はないけど、何か話を聞く限りその集団に私だけ入るのはちょっと身構えてしまうから、空も一緒でよければ参加しようかな。まあ空の予定もあるけど」
「大丈夫だと思うよ。でも紗江と神田さん呼ぶなら慎太郎も呼ぼうかな」
 二人は久しぶりの会話を楽しみながら黒髪までのドライブを楽しんだ。

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