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1990年11月30日(金)
【魔術師鍛錬場:河本 多喜二・藤原 静音・菊川 竜二】
「やっと出来たー、長かった・・・」
目の前の光球が爆発したのを確認した河本 多喜二は感慨に耽るような声でこう呟いた。ここは魔術師鍛錬場。3期生全員と数名の魔術師が鍛錬を行っている。2週間ぐらい前に榊 麗美が光球の爆発に成功したので、これで1期生全員が爆発の課題をクリアしたことになる。
「おー多喜二、やっとやな。おめでとう」
「河本くん。おめでとう」
一緒に鍛錬を行っていた菊川 竜二と藤原 静音が河本を祝福する。
「本当にやっとです。出来ないんじゃないかとも少し思ってました」
多少照れながら河本は二人に言葉を返す。実際同じ1期生の4名が爆発の課題をクリアしていたが、自分がそれが必ず出来るという保証は全くなく、このまま自分は爆発の課題が出来ないまま2期生や3期生に抜かれてしまうのではないかとのプレッシャーをずっと感じていた。
「次は爆発の爆発だったり吹雪だったり物質の消失だったりですけど、これって鍛錬すればみんな出来るようになるんですかね」
疑問に感じたことを思わず菊川と藤原に尋ねてみる。
「出来るかどうかはやってみないとわからないでしょう。ただ、課題として出されたからにはその事象自体は存在しているはずだから、やってみて出来ればよし、出来なければしょうがないよ」
「そうそう。爆発も今日クリアしたし、また一緒の課題になるから頑張って競い合いましょう」
爆発が発現するまで少し自信を失っていたが、爆発の発現と、菊川、藤原のやさしい言葉を聞いてやる気を取り戻すことができた河本であった。