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1991年4月4日(木)
【スタジオ:富田 剛・本田 仁】
「フン!」
「富田さんレバーが早いですね」
富田 剛が操作するケンがリュウを投げ飛ばしたのを見ながら本田 仁が言葉を発する。ここはゲームセンター『スタジオ』。二人はお互い別々に昼食を取った後、スタジオに集合し、ゲームを行っている。今行っているゲームは3月に設置されたカプコムの「ストリートファイターⅡ」である。このゲームは対戦格闘ゲームであり、8人のキャラクターから操作するキャラクターを選んで1対1で戦うものである。また、このゲームは特殊なコマンドを入力することにより必殺技を出すことができる。先ほど富田が行おうとしていたのは大パンチを出した後でそれをキャンセルして昇竜拳を出すというものだ。大パンチを押してからコマンドを入力すれば問題ないのだが、ついついレバーが先に入ってしまうのである。
「じゃあ富田さんしゃがみ大キックを」
本田がこう言ったので富田はしゃがみ大キックを出す。すると本田が操作するリュウがそれに大キックを合わせ、相打ちとなる。このゲームは基本的には2本先取で決着が着くのだが、相打ちとなると10ラウンドまで継続する。コマンドや、めくりジャンプの練習をする二人は9ラウンドまでは相打ちで継続し、10ラウンドだけ本気で対戦しているのである。が、ほとんどが本田のリュウが圧勝する。
「なかなか難しいもんやな」
「でもこのゲームよく出来てますよね」
そういって二人は次の対戦を開始する。ちなみに富田が1P側に座り、本田が2P側に座っているのでデフォルトでは富田のキャラがリュウ、本田のキャラがケンである。リュウとケンはほぼ同じ性能なので、どちらを使ってもあまり大差ないが、毎回わざわざキャラ選択をして富田がケン、本田がリュウを使っている。何かのこだわりなのかも知れないが、特にどうでもいいことである。